「ESG経営の第一走者」を標榜 無印良品の環境・社会配慮型商品開発の全容
「無印良品」を展開する良品計画(東京都/清水智社長)は2030年に向けた長期ビジョンで「ESG(環境・社会・企業統治)経営のトップランナーになる」と掲げ、環境や社会に配慮したものづくりを本格化する。創業時の思想を守りながら、社会課題の解決などさらに高次の課題にも踏み込む。衣服・雑貨、生活雑貨、食品にわたる現在の同社の取り組みの一部を紹介する。

元からESGが「本業」だった
良品計画は25年5月30日、ESGの取り組みに関する説明会を初めて開催した。
良品計画が展開する「無印良品」は、1980年に「大量生産、大量消費社会へのアンチテーゼ」から、西友(東京都)の前身である西友ストアーのプライベートブランド(PB)として生まれた。資本の論理が優先され、売るためにモノの本質を見失いかけた時代に「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、簡素の中に秘めた知性や感性がむしろ誇りに思える価値体系を広めたい」と発案者の1人であるデザイナーの田中一光氏は表現した。
そんな価値観を軸に据えた無印良品は、当初から、不揃いや割れたシイタケも使った「こうしん われ椎茸」(80年)、かたちが揃わない頭や尾も入れた「細肉 鮭水煮」(81年)といった「実質本位」の商品を発売してきた。「生活の美学」を追求し「わけあって、安い。」をキャッチフレーズに掲げ、ものづくりの基本として①素材の選択、②工程の点検、③包装の簡略化、という「3つのわけ」を定めた。
説明会の中で、「無印良品にとって、ESGはもともと本業だった」と良品計画の清水智社長は強調した。
良品計画は、21年に「第二創業」を旗印に企業理念を再定義し、「生活の基本商品の提供」と「地域への貢献」という2つの使命を設定。昨年11月に就任した清水社長はそれをベースに、「出店拡大」「商品開発体制の強化」など、成長に向けた8項目を提示した。
そのうちの1項目となったのが「ESG経営」だった。「ESG経営」の重要課題には、「資源循環型・自然との共生型・持続可能な社会の実現」「地域課題解決と地域活性化の実現」と定めた。






増床で西日本最大級のSCに「イオンモール橿原」の新たな施設づくりを現地レポート
