イギリス小売市場で注目浴びる「ネットゼロファンド」とは何か?

松岡 由希子 (フリーランスライター)
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ファンドNET-ZERO FUND

 ネットゼロファンドとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」への転換をサポートする基金である。

 英食品スーパー(SM)のウェイトローズ(Waitrose)は2025年3月、イギリスの農業におけるネットゼロへの移行を支援するため、50万ポンド(9500万円:1ポンド=190円で換算)のネットゼロファンドを立ち上げることを発表した。

 これは、ウェイトローズに商品を供給するイギリス国内の農家2000戸以上を対象として、低炭素農法の導入を個別に助成するものだ。雨水回収タンクの導入やサステナブルな肥料への切り替え、低炭素型ヒーティングシステムへの投資など、農業活動での温室効果ガスの排出の抑制を目的としたプロジェクトが、その助成対象となる。

 25年4月13日までの1カ月間、農家からの応募を受け付けた後、選考委員会の審査によってプロジェクトが選出される予定だ。

 ウェイトローズでは、35年までに野菜や肉、卵、牛乳を生産するイギリス国内の農家で、50年までにサプライチェーン全体でもネットゼロを達成することをめざしている。

 24年5月には、イギリスの農家が環境にやさしい農法に移行することを支援するイニシアチブ「ファーミング・フォー・ネイチャー(Farming for Nature)」を立ち上げた。今回のネットゼロファンドは、このイニシアチブの一環として位置づけられている。

 ウェイトローズのエグゼクティブディレクターのジェームズ・ベイリー氏は「農家が環境負荷の軽減に向けて変化するために必要なサポートをわれわれがきちんと提供したい」としたうえで、

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記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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