大手メーカーも意外と手薄? 「ブランドPL」の把握が重要な理由

桂 幸一郎(カンタージャパン)
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 先日、コンサルタントの同僚と、これまでに出版されたマーケティング関連書籍のテーマに関する雑談をしていた際、「ブランドPL」について真正面から議論されたものを見たことがない、という話になりました。

 実際のところ、ブランドのPL(損益計算書)は、それを把握せずして戦略を決定することはできないほど重要な要素です。個人的には、「顧客理解」や「〇〇マーケティング」といった類いよりも、まず最初に理解しておくべきものだと考えています。

 もちろん、きちんとブランドマネジメントを導入している企業にとっては当たり前の話かもしれませんが、今回はあらためて問題提起してみたいと思います。

ブランド戦略 イメージ
ブランド戦略を策定・推進するうえで、PLを把握し、それに責任を持つことは欠かせない
(写真はイメージmaybefalse/iStock)

なぜ「ブランドPL」は議論されないのか

 最近、『ブランディングの科学』で知られるマーケティングの大家、バイロン・シャープ氏の新著が『マーケティングの科学』として邦訳されました。B5判で600ページを超える大著で、マーケティング領域を網羅していますが、そこにもブランドPLに関する記述はなく、利益やROIについて少し書いてあるだけです。

 「損益を考える」のはビジネスにおいて当然であり、あえて言及するまでもないという考え方もあるでしょう。また、「それは財務部門の管轄」と考える人もいれば、「財務のとらえ方は企業によって異なるので、外部から論じにくい」と感じる人もいるかもしれません。

 しかし、ブランドマネジメントとは、ブランド担当者が

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