顧客接点をカテゴリーの定義から考える

前回までは企業レベルでの戦略策定の話を行ってきたが、今回から話はカテゴリーの戦略・戦術に移る。
最初に整理することはカテゴリーの定義付けである。カテゴリーの定義は企業戦略と商品の販売戦略の結節点の位置づけになるからだ。戦略として定めたターゲット顧客の、店に対する期待にどう応えようとしているのか。
あるいは自分たちが顧客に対してどういうサービスを提供しようとしているのか。それを具現化するための第一歩が、カテゴリーの定義である。顧客の期待とそれに基づくカテゴリーの定義によって品揃えの範囲・内容が規定され、陳列・棚割りなどの戦術のガイドラインとなるからである。
マーケティングの大家であるセオドア・レビット博士は著書『マーケティング・イマジネーション』の中で「顧客は現物を買うのではなく、望ましい期待内容を買うのである」と語っている。
筆者はこれを次のように解釈している。小売業のサービスは、「顧客の期待を最も満たしてくれる商品を揃え、その中から正しく選択できるように顧客を助け、適切な価格で提供すること」である。
食生活を豊かにしてくれることが顧客の期待であれば、提供するのは単に品揃えが多いだけではなく、目新しいものやマス製品ではないものでヴァリューを感じるもの、たとえば特産地の逸品的な商品などが考えられる。加えて、顧客の求めているものが探しやすい棚割りと、その商品がもたらす価値が正しくわかるようにすることがサービスとなる。
一方で、価格が顧客の期待するものであれば、顧客の選択基準は価格が一番となり、ほかの店よりも低価格の実現が優先されるサービスとなるため、価格帯を軸にした棚割り、そして訴求メッセージも変わってくる。
「狭義」と「広義」のカテゴリー定義
欧米(とくに欧州)では、このカテゴリーの定義には「狭義」と「広義」の2つがある。狭義は、商品カテゴリーの中でどのように細分類を定義するか、いわゆる商品分類である。「広義」は、商品カテゴリーそのものの定義でむしろ売場の構成に近い。
狭義はカテゴリー、サブカテゴリーの構成を考えることだが、ここで注意してほしいのは、