ビジネスの現場では何といっても「うまくいった」「うまくいかなかった」ということが社内でも最も話題になります。それは、全体レベルでは、売上と利益へのインパクトであり、個別レベルでは新商品導入やプロモーションなどが該当するかもしれません。その際に筆者が見聞きした経験では、声が大きい人が「うまくいった」というと会社全体でうまくいったような雰囲気になってしまったり、その逆になったりしたことが多かったです。実はここには大きな危険が潜んでいます。危険とは、実際にはうまくいっていなかった場合、その間違った評価が組織や担当者の経験として蓄積され、その過ちを繰り返してしまうことや、そのとき、逆の評価をした人たちのモチベーションが落ちることがあるかもしれません。もしくは、うまくいったとしてもどの部分がうまくいったのかがわかっていない場合には、ナレッジとして蓄積されず次の機会が訪れて同様のアプローチをしても結果が伴わないかもしれません。
「サクセスクライテリア」を設定する
ビジネスプロセスが整備されている企業では計画時にほぼ決まって「サクセスクライテリア(成功の判断基準)を決める」という段階があります。これはプラン実行の前に、計画中の戦略や施策については「ある時点」で「一定の基準を満たさない」場合は、プランを再考し別の手段をとることを決めるというものです。この際、「ある時点」という時限を設定することがポイント。これにより決断の先送りを少しでも回避することができます。
他の部門との兼ね合いがあるため、サクセスクライテリアの設定は実はかなり面倒で、そこで議論になることが多いのも事実。新製品の導入を例にとりましょう。マーケティング部門はできるだけ低い売上基準にして、さらに「こういうときは継続」などの抜け道をつくろうとしますし、ファイナンス部門は高い基準で厳密にしようとします。ただ忘れてはいけないのは、この段階での議論は石橋をたたいて渡らないための議論ではないということ。
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