【独占インタビュー】トライアルHD亀田社長が展望する「西友買収後」の景色とは

聞き手:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集長)
構成:植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

小型フォーマット「トライアルGO」の成功なくして、西友買収はなかった

TRIAL GO外観
小型フォーマット「トライアルGO」は首都圏での出店戦略において大きなカギとなる

――会見では、西友を母店とした小型フォーマット「トライアルGO」の首都圏での出店について言及があった。
亀田 トライアルGOは九州で実験を重ねてきた戦略的フォーマットだ。SuCを母店にトライアルGOを複数出店することで、コンビニサイズの店舗であっても、SuCから供給受けた鮮度の高い生鮮や、寿司やスイーツを含む出来立ての総菜を提供している。これが支持を集め、想定以上の売上をあげる店も出てきている。これを成功モデルに、西友を母店として首都圏での店舗網拡大にチャレンジする。

――九州でのトライアルGOの実験はその布石だったと。
亀田 そうだ。言い換えれば、トライアルGOの成功なくして西友の買収はなかったとも思う。実際に首都圏でもトライアルGOの展開が進んでいけば、ゆくゆくは西友でも出店実績の少ない、山手線内側への進出も検討できるかもしれない。

――西友の総合スーパー(GMS)業態の店舗についてはどうテコ入れしていくか。
亀田 基本的には、西友のGMSはすでに収益モデルを確立できていると思っている。収益性に課題がある一部の店舗についても、トライアルのSuCモデルを導入することで業績改善は可能だ。

ネットスーパー事業でのシナジー創出も期待

――西友は自社でネットスーパーを運営しているが、トライアルグループとしてのネットスーパー戦略の方向性は。
亀田 具体的な方向性はまだ精査中だが、西友が持つネットスーパーの知見やインフラに、トライアルが有するデジタル技術を融合させれば、より強固なビジネスモデルが構築できるだろう。

――今後のM&Aの方向性については。
亀田 まずは西友との融合を最優先課題として進める。これを成功事例とし、将来的にさらなるM&Aを検討する可能性はあるが、エクイティ(株主資本)にも関わる話なので、慎重に考える必要があるだろう。

◆トライアルが推進するリテールAI事業に与えるインパクト、首都圏以外での出店戦略、西友のPC活用の方向性、亀田社長が考えるトライアルの成長戦略上の西友買収の位置づけなど、インタビューの完全版は雑誌「ダイヤモンド・チェーンストア」4月1日号、および「DCSオンライン+」で公開予定です。

 

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聞き手

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集長

1987年石川県生まれ・東京都育ち。上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。編集記者、副編集長を経て25年4月より雑誌ダイヤモンド・チェーンストアおよびダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長。

これまで、企業特集(トライアルカンパニー、大創産業、クスリのアオキ、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。趣味は無計画な旅行とサウナ。最近は年齢相応(?)にランニングにハマり、フルマラソンも完走。

構成

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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