ライフがセンター出荷型ネットスーパー開始へ ディスカウント業態、M&Aなども検討

北野 裕子 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

倉庫出荷型ネットスーパーを開始へ

 業績好調のライフが、さらなる成長施策に掲げるのが倉庫出荷型ネットスーパーだ。ライフは中間決算の発表と同時に、27年秋にネットスーパーの大型センター「新横浜センター」(神奈川県横浜市)を稼働させると発表した。もともとはイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)がネットスーパーの倉庫として賃借、運営していた施設で、ライフは賃借権と一部設備を同社から承継する。設備契約面積は36457㎡にのぼる。

 ライフは現在、店舗出荷型の「ライフネットスーパー」と、アマゾンジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長)と連携して展開するネットスーパーの2つのサービスを提供する。新たに倉庫出荷型ネットスーパーを始める理由について岩崎社長は、店舗型では配送エリアの制限や施設のキャパシティ不足、生産性改善の限界などの課題があると説明。倉庫出荷型ではそういった課題の改善や、配送枠(時間帯)の拡大も見込めるとし、「日本のネットスーパー市場はいまだに2ケタ近くの成長を続けている。撤退する企業もいる中で、われわれとしてもチャンスがある」と語った。

26年2月期中間決算について説明する岩崎高治社長=10月7日、ライフ東京本社(東京都品川区)

 とくに大きいのが、イトーヨーカ堂から施設を承継できる点だ。店舗出荷型ネットスーパーを新たに始める場合、本来は設備投資などに多額の費用がかかるが、今回はイトーヨーカ堂から「非常に有利な条件」(取締役常務執行役員財形本部長の岡田晴信氏)で取得できたため、初期投資を抑えられたという。

 岩崎社長は「本当にすばらしいセンターになっている。イトーヨーカ堂の方が熱意を持って取り組み、ノウハウもあるのにやめてしまうのはもったいない。われわれが引き継ぎ、倉庫出荷型ネットスーパーを成功させたい、絶対に成し遂げなければいけないと挑戦を決めた」と意気込みを語った。エリアについては、まずは首都圏で展開してノウハウを積み上げたうえで、近畿圏など他エリアへの拡大も検討する。

М&Aも「具体的に検討」

 他方、食品スーパー業界では、近年M&Aを伴う大型再編が相次いでいる。直近では101日、旧ヤオコーのブルーゾーンホールディングス(埼玉県/川野澄人社長)が文化堂(東京都)の完全子会社化とデライトホールディングス(愛知県)の連結子会社化を発表したばかりだ。

 岩崎社長はМ&Aの可能性について「社内では水平(同業種、同業態同士)のМ&Aのみならず、垂直(川上、川下の企業)も含めて具体的に検討している案件が出てきている」と言及。出店戦略において、自社出店は首都圏・近畿圏でのドミナント形成が基本としたうえで「М&Aであれば他の地域も十分に視野に入る」と語った。

1 2

記事執筆者

北野 裕子 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

兵庫県出身。新聞社を経てダイヤモンド・リテイルメディアに入社し、ダイヤモンド・チェーンストア編集部に所属。

趣味は国内の海や湖を巡り、風光明媚な場所を探すこと。おすすめのスポットは滋賀県の余呉湖、山口県の角島大橋。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態