コンビニ、ディスカウントスーパー、ヘルスケア…ハイヴィーの新戦略

取材・文:鈴木 敏仁
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ここまで旗艦店の売場、新たな成長の柱に据えるリテールメディア事業の全貌について見てきたが、ハイヴィーの将来の成長を左右する要素はまだまだ存在する。

ここでは筆者が注目している3つのトピック──コンビニ業態、ヘルスケア領域、ディスカウントSMに関する動きについてまとめる。

1 ファスト&フレッシュ

MTOを標準装備したコンビニ型フォーマット

 ハイヴィーはもともとSM店舗の駐車場スペースまたは隣接地などでガソリンスタンドを運営していて、ここに本格的なコンビニエンスストアを併設させることを目的として開発されたのがファスト&フレッシュだ。1号店は2018年にオープン、現在の総店舗数は189店舗で、そのうちの168店舗はSM敷地内、残りの21店舗はSM敷地外に立地している。

ハイヴィー店内
店内デザインは高級感があり、コンビニ特有のチープさがない。MTO型フードサービスは正面店奥の壁面、名称はマーケットグリルエクスプレスで標準店舗の名称を踏襲し、ブランディングしている。イートインスペースもある

 当時は標準型のSMフォーマットが出店できないような場所にも出店することを考えていると言っていて、情報ではガソリンスタンド併設ではない独立店舗もあるようだ。

ガソリンスタンド併設型コンビニのファスト&フレッシュ
ガソリンスタンド併設型コンビニのファスト&フレッシュ。立地は大都市ではないので治安がよく、店外の入口周辺やガソリンポンプ周辺でも大陳している点が目を引いた

 1万平方フィート(約930㎡)と一般的なコンビニよりも大きな店舗面積で、グラブ&ゴー型の総菜やフードサービスに大きなスペースが割り当てられている。通常のコンビニサイズの店舗もあり、こちらはファスト&フレッシュ・エクスプレスという名称が付けられている。

ファスト&フレッシュ・エクスプレス外観
小型店舗のファスト&フレッシュ・エクスプレス。店舗面積は小さいがMTO型フードサービスを備える

 グロサリー、青果、ドリンク、総菜、雑貨等々、コンビニフォーマットの標準的な品揃えなのだが、やはり特筆すべきは注文を受けてからつくるMTO型フードサービスが標準仕様となっている点だ。

 競合しているケイシーズ(Casey’s)やカム&ゴー(Kum&Go)もMTOが標準、ハイヴィーのSMはMTOのみならずテーブルサービスのインストアレストランがあり、アイオワ州では小売企業によるフードサービスが一般化している。

 おそらくその分ファストフードが食われているはずで、小売と外食の競合が激しい地域と言えそうだ。

ケイシーズのMTO型フードサービス
競合しているケイシーズのMTO型フードサービス。広い厨房を備えてファストフードからお客を奪うに十分な規模である

2 ヘルスケア市場の深耕

栄養士のカウンセリング強化、医療サービス展開にも着手

 アメリカの有力SMは雑貨も強く、ハイヴィーも例外ではない。ビューティは専門業態のアルタ並みの洗練された手がかかった売場をつくっていて驚かされた。

ビューティ売場内の手洗いシンク
ビューティ売場内には手洗いシンクを備える。専門店ではよくある設備だが、SMやドラッグストアといったマスフォーマットで備える店舗を私は見た記憶がない

 強いH&BCをスピンオフして開発したのがハイヴィー・ヘルスマーケットである。18年に1号店をオープン、

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取材・文

在米40年、現在はロサンゼルス在住。小売業界ジャーナリスト。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)
『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』(ダイヤモンド社)

 

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