横浜・鶴見のブラジル系食品スーパー「マハロ」 外国籍住民から熱烈な支持を集める理由とは

阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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横浜・鶴見にあるブラジル系食品スーパー「MAHALOH IMPORT SHOP」(以下、マハロ)。ブラジル人のみならず、さまざまな国籍の外国人居住者の生活インフラとしての役割を担っている。店内製造の総菜やイートイン対応のハンバーガー店も併設。さらに、動画による販売促進やECサイトの整備にも注力しており、2024年の売上高は前年から10%伸長するなど好調だ。外国籍住民向けの食品スーパーは今や全国に数多あるが、マハロがとくに大きな支持を集める理由とは。

神奈川県横浜市鶴見区の潮田銀座商店街にある「MAHALOH IMPORT SHOP」

電気設備の施工会社がブラジル系食品スーパーの運営に乗り出した理由

 マハロはJR京浜東北線・鶴見線「鶴見」駅から1.6kmの住宅街に位置する。周辺はもともと沖縄県出身の住民が多く暮らす地域として知られてきたが、近年は沖縄にルーツを持つ日系ブラジル人やその家族も多く住むようになった。こうした背景から、沖縄文化とブラジル文化が交わったユニークな地域性が特徴となっている。

 そんな場所でマハロを運営するのは、電気設備の施工・管理・設計などを主業とする友電設(神奈川県/川崎俊広社長)だ。まったくの異業種である同社がマハロの運営に乗り出したきっかけは、川崎社長が電気業を営む知人から「ブラジル人居住者の生活に根差した食品や商品を扱う店が不足している」との声を聞いたことだった。そこで224月、マハロを開業した。

 マハロ商業部門担当者は、「平日はブラジル人を中心とした南米系のお客さまが多く、近隣から徒歩で来店される方が中心。電気設備関連の企業に勤務する職人や従業員の方が、仕事帰りに立ち寄られることもある。土日は、南米系に加えて、アジア系やアメリカ人など多国籍なお客さまが遠方から来店する」と話す。

ブラジルに”特化しない”品揃えが多国籍の支持を集める

 店舗面積は452㎡で、取り扱いアイテム数は約9500SKUに上る。精肉、冷凍魚、加工食品、菓子類などを中心に全体の約9割を食品が占めている。ブラジルを中心にペルー、インドネシア、ベトナムなど、さまざまな国々の食文化に対応したアイテムが豊富に揃うのがマハロの最たる特徴だ。特定の国に偏らず、多様な国籍の住民のニーズに応えた品揃えが、前述のとおり遠方からわざわざ来店するまでの支持を集めている。

 なお、売上高構成比の詳細は非公表。ただし食品カテゴリーの中でも精肉の占める割合が比較的高いという。

店内併設のハンバーガー専門店「BURGER’YA(バーガーヤ)」ではハンバーガーのほかシェイクなどサイドメニューも充実

 また、マハロ店内には、ハンバーガー専門店「BURGER’YA(バーガーヤ)」がテナントとして出店している。ブラジル人が多く住む群馬県大泉町に1号店を構える同店は、2212月にマハロの敷地内に2号店をオープン。246月には東京都新宿区にも3号店を開業している。

「キャッシュバーガーセット」(税込1480円)。店内のイートインスペースで食事ができる

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記事執筆者

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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