ロピアにクルベ 安いだけでは勝てない!ディスカウントスーパーで進む多様化の理由
安さ+“尖った個性”で集客力を向上させる
ただ、前出のSM関係者はこうも言う。「安さだけでディスカウンティングを表現できる時代は終わった」。
安さの仕組みを手にしたチェーンが増え、SMとDSが入り乱れての食を中心とした価格競争が激化するなか、「競合が戦意を喪失するほどの安さ」、あるいは「専売特許レベルの仕組みに裏打ちされた本質的なEDLP(エブリデー・ロープライス)」などを打ち出さない限り、価格は差別化要素にならないというわけだ。
他方、原材料費の高騰はディスカウンティングを志向するチェーンにとっても喫緊の課題。今回取材した企業でも、「ナショナルブランド商品を軸としたこれ以上の価格訴求はもはや不可能」と担当者は口を揃える。
「安さ」だけでは競争を抜け出せず、そもそもこれまでのレベルの「安さ」を維持することが物理的に難しくなっているなか、ディスカウンティングの手法をどう変化、多様化させるべきか。これが本特集のメーンテーマである。

その方向性はさまざまあるが、たとえば安さにエンタメ性を付加したのが「ロピア」や「クルベ」だ。生鮮や総菜を中心に安さを打ち出しつつ、POPや売場装飾を個店ごとに工夫することで、買物の楽しさを演出。無機質な雰囲気が漂うかつてのDS像を一新し、安さ以上に「その店に行くことが楽しい」という来店動機を創出している。
PBをはじめオリジナル商品の品揃えによって差別化を図る動きも見られる。
たとえばトライアルはメーカーと共同開発したダブルチョップ商品を生鮮を中心に増やしているほか、産地に入り込んだSPA(製造小売)型のPB、そして職人品質を追求した総菜メニューなども日々拡充。
オーケーも同様に生鮮でSPAを志向し、相場高騰下で値頃感のある価格を維持するほか、PB「オーケーオリジナル」、さらに新天地の関西では、地域の需要に即したMDのローカライズも部分的に行っている。
このほか、イオン九州の「ザ・ビッグ」の新店では、冷凍食品売場に100坪超を確保し、地域いちばんの品揃えを訴求。アークスの「スーパーアークス」では、カインズ(埼玉県/高家正行社長)のPBを非食品売場で投入するほか、総菜や日配品で「スーパーアークス限定」のアイテムを差し込むことでオリジナリティを出している。
これらはあくまで一例だが、共通するのは安さプラスアルファの独自性、あるいは個性とも表現できるような要素を追求するという姿勢である。本特集ではそうした“尖り”で集客につなげ、マーケットシェアを高めようとする先進企業を取材・調査した。ディスカウンティングフォーマットの開発手法は、もっと多様であってよいはずだ。
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