ロピアにクルベ 安いだけでは勝てない!ディスカウントスーパーで進む多様化の理由
“安さの仕組み”自体では差別化が難しい時代に
「SMとディスカウントストア(DS)の垣根がどんどんなくなっている」──。あるSM関係者は市場をそう俯瞰する。
そもそもDSは、サプライチェーンや店舗オペレーションそのものを究極的に効率化することで、圧倒的な価格競争力を維持するというビジネスモデルで成立していた。つまり「安さ」を実現するための確固たる仕組みがあり、それはSMとはまったく異なるものだった。
だからSMが安易にディスカウントフォーマットを開発したところで、既存の“SMの仕組み”の中でできるのは品揃えを既存フォーマットより絞り込み、取引先の卸・メーカーに“価格努力”を求めるといった程度であった。そのためフォーマットとしての持続性や成長性に乏しく、実際、過去に登場したディスカウントSMの多くが撤退もしくは大幅な事業縮小を余儀なくされた。
しかしここに来て、再びSMが「ディスカウンティング」に本腰を入れ、フォーマット開発に力を注ぐようになった。
背景としては、①未曾有のインフレ下で顧客の価格感度が前例のないほど高まっている、②従来型のDS(「ドン・キホーテ」や「トライアル」など)やドラッグストアが生鮮の扱いと品質を格段に向上させたことで競合の度合いが高まった、③技術革新や商品開発力の向上に伴い「安さを実現する仕組みづくり」のハードルが下がった、④所得格差に伴う「エコノミーマーケット」が一定以上の市場規模に達し、それをSMでもカバーする必要が生じた、といったことが挙げられるだろう。
とくに大きいのが③だ。たとえば、SMにとって慢性的な課題となっていた人手不足の問題に対して、近年はAIを活用した自動発注や売場管理システムの導入が進む。
プロセスセンターの活用域も各社で拡大、さらに各カテゴリーで下限をおさえるPBの開発も加速している。「ローコストオペレーションでよい商品をより安く」というビジョンは、SMにとって以前よりも、簡単ではないにしろ取り組みやすいものになったといえる。
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