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「インテリジェンス」がないと小売業は生き残れない

「インテリジェンス」化とは

 この連載のタイトルである「インテリジェンス」化とはチェーンストア業界の競争力を維持・強化するためのカギとなる。

 「インテリジェンス」とはウィキペディアの定義によれば、「意思決定のために情報を分析して得られる知見、またそれを得る機構」を指す。言い換えると、情報を適切に解釈し、状況や経験を考慮して的確な判断を下す、ということだ。

 多くの食品小売業では、長年にわたる経験と勘を頼りに、店舗運営や品揃え、販促が行われてきた。この「経験、勘、度胸(KKD)」に基づく方法は、その場の状況や直感を重視する点で大きな利点がある。とくに食品小売業では、日々の相場や在庫状況、天候などの変動に柔軟に対応する能力が求められるため、経験豊富なバイヤーや店長の判断が大きな影響を与えるのである。

 しかし、現代のビジネス環境は、データやIT技術の進化により、急速に変化している。人手不足や物価の変動、世代交代などの課題を乗り越えるためには、KKDの「経験値」「勘」を使いながらも、データ分析やAI技術の活用を進めるのが今後の「インテリジェンス」といえる。

 大切なのは、新しい技術を単に導入するだけではなく、現場の経験値とデータを適切に組み合わせることだ。このことはとくに生鮮食品についてはより重要となる。

 デジタル活用や標準化を優先するあまりKKDを無視すると、自社の優位性がなくなり、競争力が低下しかねないからだ。過去からの経験をベースに商品政策(MD)の工程を見直し、「暗黙知(個人の経験や勘に基づく、簡単に言語化できない知識)」を「形式知(文章や図解、数値などによって、誰が見ても理解できる形式で表現された客観的な知識)」にすることが、現代の小売業の「インテリジェンス化」といえるだろう。

商品部の工程の可視化「利は元にあり!」

 日本の小売業では、商品の流れ(原料から店頭に並ぶまで)や情報の流れ、人の行動が、可視化されずに、各部署で属人化やブラックボックスとなっている。とくに核となる商品部においては、

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