小売業の次期成長のヒントは、社名の由来と現状のギャップを埋めることにある理由

2023/04/06 05:54
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名前は「そうあって欲しい」と願う目標の言霊

pressureUA/istock
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 「名は体を表す」という。

 元プロ野球選手の中西太さんの丸々した体形はいかにも「太」だったし、元横綱の武蔵丸光洋は「武蔵坊弁慶」を彷彿させるし(“武蔵丸”の由来は所属の武蔵川部屋の武蔵に本名フィヤマル・ペニタニのマルをつけたと言われる)、日本中央競馬史上6頭目の三冠馬になったディープインパクトのゴール前の豪脚は「凄い衝撃」を与えてくれるなど、確かにそうした傾向はあるのだろう。

しかし、「名は体を表さない」という逆説的な見方も成り立つのではないかと考えている。

名前を「名付け親が『そうあって欲しい』と願う希望や目標の言霊」ととらえれば、現時点では不足している、ということになり、名前と実態は合致していないことになるからだ。

たとえば、「ダイエー」という企業名は、中内功さんが創業した「大栄薬品工業」から取ったものだ。

悔しさと野望から生まれた
 “大栄”と名付けた中内功さんの真意 

では、なぜ、中内功さんは、自分の会社を“大栄”(=ダイエー)と名付けたのだろうか?

 中内功さんの祖父である“栄”(さかえ)さんの名に由来する家業の「サカエ薬品」を父秀雄さんが実弟の博さんに継がせてしまった悔しさを表現したものと思われる。

 “大栄”とは、「サカエ薬品」よりも必ず大きくなってやる、という中内功さんの悔しさと野望を前面に打ち出した旗幟であり、企業名だったとみられる。だから創業時点の実態は“小栄”だったわけだ。

 周知の通り、ダイエーの場合は、そこからのふんばりと努力で見事に「名は体を表す」どころか、それよりもっともっと大きな成功を収めた――。

成長の突破口は
「社名の由来と現状」の乖離を埋めることにある?

 しかしながら、そうしたケースは案外、希有なのではないかとも思える。

 ここではどこと個別に特定することは避けたいが、企業名、人物名、施設名、商品名…実はその多くは、名前と実態は合致していないばかりか、逆のことすら多いような気がする。

 そんなふうに名前と実態との関係を検証してみると、いろいろな発見があり、とても面白い。流通企業名などは、その最たるものであり、社名の由来と現状の乖離を埋めていくことに、次期成長の突破口があるかもしれない。

記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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