ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO(千葉県/澤田宏太郎社長)が2022年12月にオープンした同社初のリアル店舗「niaulab by ZOZO」(以下、似合うラボ)。東京・表参道という好立地に出店した同店では、商品の販売を行わず、一般的には2~3万円かかるパーソナルスタイリングサービスを無料で提供する。その前例のない思い切った試みに、予約受付を開始するやいなや2万7000人以上もの応募が殺到するほど注目を集めている。
新しい経営戦略を遂行する試金石
ZOZOが出店した似合うラボは、服を売らずにAIとプロのスタイリストによるスタイリング提案を行う体験型の店舗だ。同店は渋谷区の表参道沿いに面するビルの地下一階に入る。似合うラボへの入店は完全予約制で、同店は外から店内の様子がわからないようになっている。
似合うラボの利用予約は抽選制だ。同店専用のLINEアカウントから応募し、当選するとカウンセリングシートが送られ、ファッションの好みや悩みについて回答する。体験当日は、その内容をもとにZOZO独自のAIがコーディネートを提案。それを参照しながらプロのスタイリストと対話のうえ自分に最も似合うスタイリングを探していくという流れだ。
ZOZOは創業25年目を迎えた2022年5月、経営戦略である「MORE FASHION× FASHION TECH」に「ワクワクできる『似合う』を届ける」という文言を新たに加えた。その内容は、「似合う」を提案することで、「ファッションを『買う』ならZOZO」から「ファッションの『こと』ならZOZO」と言われる存在へと事業領域を拡大し成長を図るというもの。似合うラボはそれを実践する場の1つとして出店した。
このように新しい成長戦略の試金石ともいえる似合うラボでは、お客の体験価値を高めるための店舗設計にこだわり抜いた。
似合うラボの延床面積は約76坪で、ZOZOTOWNで取り扱う衣類や靴、帽子、バッグ、アクセサリーなどのアイテムを常時700点以上並べる。ZOZOの事業やサービスを中心にクリエイティブディレクターを務め、似合うラボの事業責任者である大久保真登氏は、「お客さまの『似合う』を見つけてもらうための店舗設計を追求している」と説明する。
内装にもこだわり、たとえば空間を仕切るカーテンは、角度によって見え方が異なる透過性のある素材を使用する。カーテン同士が重なりあうことで生まれる色味は多様で、無限の「似合う」を表現する。ほかにも、先述した外から店内の様子が見えないように設計された外観には、プライベートな空間で自分の「似合う」を見つけてほしいという想いが込められている。
コンセプトは「試着室に飛びこむ」
似合うラボの店舗
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