台頭するフード&ドラッグを日々間近にしている関係者は、どのような視点でその動きを見ているのだろうか。そこで、大手ドラッグストア(DgS)と、大手食品メーカーの現役社員に匿名を条件に参加してもらい、誌上座談会を実施。フード&ドラッグの現状、注目している企業、今後の成長に関わる課題などを語ってもらった。
参加者
Aさん:某大手DgS社員。現在は首都圏の店舗に勤務。
Bさん:某食品メーカー社員。入社後、地方での営業担当を経て現在は営業戦略策定担当。
「コスモスは強い!」と言える理由
──まずは昨今加速するDgS各社の食品強化の動きを、それぞれの立場でどう見ているか、教えてください。
Aさん やはり、食品を扱うと集客力が大きく向上することは確かです。実際に食品を扱う店舗で勤務していたとき、レジに立っていると体感で7割くらいのお客さまのカゴには何らかの食品が入っていました。
その店では生鮮は扱っていませんでしたが、米や卵、カット野菜、納豆や牛乳など日配品が売れ筋でした。食品スーパー(SM)の代替、あるいはそれを補完するものとしてのDgSの役割を実感しましたね。
Bさん コロナ禍で多くの食品強化型DgSは業績を伸ばしましたが、各社ともニーズの変化に対する対応が早いという印象を持っています。需要が急伸する冷凍食品をいち早く拡充したり、コロナ禍で注目されたワンストップショッピングの利便性を追求するために生鮮を強化したりしていますよね。フード&ドラッグというと「安売り」のイメージが先行するのですが、実は変化対応に長けた業態なのだと感じています。
──フード&ドラッグ市場でとくに注目している企業や動きはありますか。
Bさん まずは「コスモス薬品」ですね。各地での高速出店やEDLP(エブリデー・ロープライス)を軸とした価格の安さが注目されがちですが、メーカーの人間としてはコスモス薬品の「売り方」に変化を感じています。
たとえば特定保健用食品のような、いわゆる付加価値型の商品についての関心もとても高い。ほかの商品に比べれば売価は高くなるわけですが、「どのように売ればお客さまに手に取っていただけるか」など、売場づくりや陳列手法を含めた価値訴求の手法も細かに考えられていますし、アドバイスを求められることも少なくありません。価格訴求だけでなく、利益を最大限に確保するために付加価値型の食品も売り込むということも重視しているようです。
Aさん 同業からすると、コスモス薬品の売場を見ると驚かされることがたくさんあります。とくに、
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