+Jが挑むモンクレールの牙城 ユニクロにとって勝負の「冬」となる理由

河合 拓
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残念な日本の未来とファッション市場

一方で株式市場を見れば、投資家がいまの日本の経済政策に期待を寄せているようには見えないし、頼みの米国株も新たに見つかった南アフリカ発のウイルス変異株からの警戒か、乱高下を続けている。
国のGDPを上げる経済対策をなおざりにしたまま賃金コストがあがれば、企業収益は悪化する。なにより、日本企業の大分部を占める中小企業の60%が赤字で、アパレル企業に至っては、ほぼ全てが正しく在庫を評価すれば、ほとんどの非上場企業が赤字になっていると私は見ている。実際、企業買収の世界では「ここが?」というアパレル企業が名を連ねている。

衣料品市場は「社会の鏡」であることは幾度も述べてきた。今年の冬、ファーストリテイリングは、「プレミアムブランド」に真っ向から勝負を挑むことになるのではないか。少なくとも4年前に私がやった、真夏にダウンを買うような「バブリー消費」はもはや戻ってこない。日本の人口も2050年には1億人を切るとの試算もある。そのように考えると、いよいよファーストリテイリングの「ユニクロ プラス ブランド」の、「プチ・プレミアム」とも言える重衣料を、消費者が選ぶ時代に突入したのではないか。

答えは、この冬、新型コロナウイルスを表面的にも押さえている時期ハッキリする。

*なお、当方の「アパレル企業」という表記には、B2B型アパレル、リテーラー型専門店を含み厳密な定義をしていないことにご留意いただきたい。これは、読者の理解を妨げるとの判断からである。読者は本質論に目を向けていただきたい。

 

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プロフィール

河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)

ブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)

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