第26回 時代に合ったショートタイムショッピングの実現

桜井多恵子
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スーパーマーケット再創造

新たな暮らし方の本質を知る

 日本人の暮らし方は昭和と令和では大きく変化した。その間の平成の時代に徐々に変わっていったのだ。

 第一に、人口構成は高齢化の一途を辿り、今や平均年齢が45歳を超えている。多くの小売業者がメーンターゲットにしたがる30代は12%足らずと少なく、それ以下は年齢が下がれば下がるほどもっと少なくなる。だから若者だけで成立するビジネスは限定されてくる。

 増え続ける高齢者だが、十分な年金を得て“悠々自適”ができる人は少数派だ。多くは働かなければ暮らしは成り立たない。したがって65歳以上の就業率は現状で3割を超え、その数は増える一方で減る気配はない。

 また、高齢化は単身世帯の増加でもある。家族は次第に独立し、夫婦はどちらかが時間の経過とともに欠けるからである。

 高齢者に限らず中年の単身世帯も急増中である。かつてあった結婚への願望や周囲からの圧力は時代とともに希薄になり、単身を選ぶ人が男女ともに増えているのだ。

 地球の温暖化による環境変化など、さまざまな未来予測は明るいものではないことが多く、それらの要因が配偶者や子供を持つことを躊躇させているのかもしれない。

 もっと大きな変化は、女性の社会進出だ。成人女性の有職率(パートを含む)は75%に達し、仕事を持っていることが常識化した。男女平等教育だから当然ではあるのだが、高度成長期のような終身雇用制度が崩壊し、職は万全のものではなくなった。そこで、結婚しても夫の収入だけに頼れず、自分のキャリアをあっさり止められないのだ。

 もちろん自分の収入ルートを確保しておかないと離婚の自由はないことを、専業主婦が当たり前だった親の世代から教訓として受け取っていることもある。

 今の女性は外で働きながら家庭を持ち、家事と育児をこなすのが当たり前なのだ。それにともない男性の育児や家事への参加が叫ばれ、男性も育児休暇を取得できる制度ができつつある。ただし、目に見えて女性の負担を軽減するまでには至っていない。しかも離婚すれば子育ては女性が担うケースが多いので、忙しいシングルマザーは増え続けているのである。

 誰もが職業を持ち、家事もこなす時代だ。高齢者も若者も、男も女も同じなのだ。かつて家族が分業していた暮らしの役務を、今では1人でこなすことが当たり前になっているのである。だから食生活は彼らの暮らしのほんの一部にすぎないと考えるべきである。

 このような忙しい人々にスーパーマーケット(SM)はいかに対処すべきか、

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