滋賀県を本拠地とし、鮮魚専門店を源流とするハズイ食料品店(筈井武司社長:以下、ハズイ)は、「スーパーハズイ」の屋号で3店舗を展開する食品スーパー(SM)だ。事業規模は小さいながら、市場のような活気がある売場が特徴で、鮮魚を中心に鮮度が高く価格も安い生鮮食品、地元メーカーの日配品などを揃え、地域の支持を集めている。本稿では「スーパーハズイ水口店」(滋賀県甲賀市)の売場分析、競合との価格比較を通して同社の強さの秘密に迫る。(調査日:2021年10月16~18日:本文中の価格は基本的に調査日の本体価格で、総菜・寿司・刺身は税込価格)
ハズイ食料品店の強さのポイント
- 野菜と果物を分離した管理体制
- 鮮魚を中心とする市場のような売場
- 野菜を軸とする地域いちばんの圧倒的低価格
●全体印象
売場は「生鮮特化型」青果・鮮魚に強み
スーパーハズイ水口店のある甲賀市は、滋賀県の南東部に位置しており、京都府と三重県に隣接する人口約9万人の市である。歴史ある街で、江戸時代には水口藩の城下町だった。甲賀市役所から半径300m圏内はスーパーハズイ水口店だけでなく、「西友水口店」「スーパーマーケットバロー水口店」のほか、「クスリのアオキ」をはじめとする食品強化型のドラッグストアも出店する激戦区だ。
スーパーハズイ水口店は、近江鉄道「水口城南」駅から徒歩10分の場所にある。ホームセンター「アヤハディオ」や家電量販店「エディオン」などが集積した近隣型ショッピングセンター「アヤハプラザ水口」にあり、売場面積は約520坪。
日曜日の開店直前に店舗を訪れるとすでに50人ほど並んでおり、地上駐車場は満車状態。開店と同時にお客が一気に店に流れ込んだ。店舗に入ってすぐ目にとまる青果売場では、1玉100円以下のキャベツやレタスなど目玉商品が所狭しと並べられ、お客はそれらを素早くカゴに入れて鮮魚売場に向かう。
ハズイの“看板部門”である鮮魚では、専任担当者がその日の目玉商品をアピールし、それに吸い込まれるようにお客が集まっていた。こうした状況がオープンから2時間経過した12時頃になっても落ち着かず、レジ13台はフル稼働で各レーンには常に行列ができていた。この混雑を考えると、遠方からの客が多く商圏が広いことが推測できる。チラシを打たずとも、その存在は十分認知されているようだ。
スーパーハズイ水口店は、生鮮食品の売場と作業場が一体化しており、店内は市場のような臨場感が満ちあふれている。さらに鮮魚・総菜売場では従業員が元気にお客を呼び込んでおり、これが活気につながっている。店外には「より良い品をより安く、新鮮さをモットーに!」というポリシーが記載されたトラックが3台並んでいた。これを使って直接市場で担当者が商品を買い付け、店舗まで運んでくるのだろう。
●青果
野菜と果物は別の部門が管理
ここからは部門別の売場づくりを詳しく見ていく。
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