コメリ、上期減収減益も業績トレンドは右肩上がり 将来的に3000店舗展開をめざす戦略とは

兵藤雄之
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JAとの協業で新たなシナジーも

 全国に広がる店舗網とネットの融合は同社の強みだが、上半期のEC売上は前年比11.1%増、EC比率も前年から0.66ポイントアップの4.9%まで高まってきた。EC全体の80%がBOPIS(ネット注文、店頭受取)利用だという。
 また、業種業態を超えた大競争時代を勝ち抜くために不可欠と位置付けるのが、プライベートブランド(PB)商品だ。21年6月には、プロ顧客のニーズに対応した電動工具のカテゴリーブランド「UBERMANN(ウーバマン)」をデビューさせた。22年3月期2Q時点で、PB構成比は45.9%、前年比1.8ポイントプラス。将来的には50%超をめざすとしている。
 ホームセンター企業で唯一、自社発行しているクレジットカードについては、会員数426万(2021年9月末時点)となり、カード会員は客単価、来店頻度、年間購入額で非会員を4割近く上回るという。
 また、コメリが主として担う市場がリフォーム関連資材市場と農業資材関連市場だ。捧社長は「どちらも大きな市場だが、旧態依然とした非効率が残っており、困っている顧客が多い。この分野での流通イノベーションを提供するのが当社のミッション」と語る。
 リフォーム事業は、上期対前年同期比12%増で推移。全国にリアル店舗があり、全国一律のリフォームサービスができることが大きな強みになっている。高齢化社会がますます進み、高齢者から商品の取り付け、リフォーム、修繕を頼まれる機会が多くなっているという。
 農業資材関連では、20年3月、長野のJA上伊那との協業がスタート。21年4月からはJA紀の里(和歌山)、JA山形おきたまでも開始した。具体的にはJAが取り扱う肥料や農薬、農業資材などをコメリでも取り扱うもので、JA上伊那では今回の取り組みにより利益が2倍になっているという。「農業資材を購入する組合員の方たちが、当社のカードホルダーにもなり、農業関連以外の、木材、工具、金物などを買っている。JA、組合員、コメリ、三方よしの関係ができている。今後、他のJAにも水平展開できると考えている」(捧社長)。

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