アジアの成長を内製化!越境ECは生存戦略である理由と2つの成功ポイントとは

河合 拓
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日本企業再成長の鍵は越境EC

Nikada/istock
Nikada/istock

すでに成長が止まり、市場には何十億点という隠し在庫があるアパレル業界。かつ、C2C(個人間取引)市場はすでに2兆円 (内、アパレルは8000億と言われている) に迫る勢いで成長している。このアパレル市場で、従来型ビジネスモデルで競争優位を確立することは相当難易度が高。しかし、世界市場に目を向けると「日本のアパレル」に対するチャンスが見えてくる。
例えばAmazonはジェトロと組んで米国市場でジャパンファッションフェアを開催したし、中国富裕層の台頭により、日本のファッションブランドが中国で人気No.1になるなど、コロナの封じ込めに(一時的にせよ)成功した国では「日本のファッションブランド」に対する評価が高まっているからだ。

ただし、真っ先に有力な進出先と多くが見込む中国について、在中の友人やビジネスパートナーに話を聞けば事情はやや異なっているようだ。中国企業の品質は日増しに高まっており、「日本ブランドは高品質だが中国ブランドの品質は低い」というのは今は昔の話。今の若者にとって中国と日本のブランド品質差はほとんどない、というのが一般消費者の主たる声だ。
いずれにせよ日本市場で、もはや一部の隙もないユニクロ、g.u.、外資SPAと真っ向から戦っていても将来展望は見えてこないし、日本の「安心、安全」というプレゼンスが落ちる時間も刻一刻と迫っている。
そこで、「越境EC」に活路を見出すということになる。だが、話を聞いてみると多くのケースにおいて、海外への販売代理店卸へ商品を渡しているだけということが多い。

当たり前だが、ECというのは、消費者の購買履歴を動体的に把握し、消費者ごとにパーソナライズされた商品やサービスミックスを提案することで客単価(一点単価 x セット率 x 年間購買頻度)を上げてゆくのがセオリー。
だから、卸に商品を渡して、あとはどこかのECで販売しているだろうというのは、「越境EC」とは言えない。消費が飽和している時代において、まさにデータの質(購買動体データ)と量(客数)の掛け算によって得られるLTV (顧客生涯価値) が勝敗を決するのである。

 そこでヒントになるのが、中国 Sheinのモデルである。

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