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大量店舗閉鎖はOMO化の号砲!アパレルの王者ZARA の戦略とは?

ファーストリテイリングとの相違点と共通点

 本連載の第5回(6月15日号掲載)では日本のアパレルの巨人ファーストリテイリングを取り上げたが、グローバル小売市場を語るうえで外すことができないのが「ZARA」を擁するスペインのインディテックス(Inditex)だ。同社の売上規模はコロナ禍の影響により大きく落ち込んだが、それでもファーストリテイリングやH&Mといった大手を抑えアパレル業界首位の地位を維持している。またコロナ禍の影響を最も受けた2021年1月期と比べ、今期はすでに業績が回復傾向にあり底力を示している(図表❶)。

「ZARA」を擁するスペインのインディテックス(Inditex)の売上規模はコロナ禍の影響により大きく落ち込んだが、それでもファーストリテイリングやH&Mといった大手を抑えアパレル業界首位の地位を維持している。 Robert Way/istock

 インディテックスとファーストリテイリングを比較すると、大きな相違点と共通点が見て取れる。まず両社の事業コンセプトは対照的である。ファーストリテイリングは、ブランドとして「究極の普段着」をめざしており、顧客層やトレンドを選ばないエッセンシャルなアパレルを志向している。他方、インディテックスは、とくに働く女性をターゲットにトレンドファッションを早く安く提供することを価値とするいわゆるファストファッションを志向している。

 このような違いがある一方、コロナ禍を生き抜きさらなる成長を見据える両社には共通した戦略の方向性が見て取れる。それは事業活動において、「サステナビリティ」と「デジタル」という重要テーマに積極的かつ戦略的に取り組んでいること、さらにそれらの取り組みをコロナ以前から行っていたことにある。本稿では、インディテックスがサステナビリティとデジタルの要素をどのように自社のビジネスに融合しているのか、その内容を追っていく。

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