売場づくりを大変化 電鉄利用者激減でも東急ストアが好調な理由とは?

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大による外出自粛生活やリモートワークの普及の影響を受け、駅や公共交通機関の利用者が大きく減少している。そうしたなか電鉄系の食品スーパー(SM)各社には、従来とは異なる店づくりや提案が求められている。電鉄系SM最大手である東急ストア(東京都)の須田清社長に、直近の取り組みと今後の成長戦略を聞いた。

健康を4つのテーマで訴求「栄養プラス」が好調

──コロナ禍での業績はいかがですか。

東急ストア代表取締役社長 須田清氏
須田清(すだ・きよし)
●1956年6月生まれ。 79年3月明治大学法学部卒業後、東急ストア入社。2009年3月執行役員。11年2月取締役常務執行役員。商品本部長、営業統括本部長を経て、11年11月取締役専務執行役員。12年5月代表取締役社長に就任。

須田 コロナ禍が追い風となっている点は一般的なSMと同様です。しかし、電鉄系SMである東急ストアは、駅前に多く店舗展開しているため、駅利用者の激減を受けて、既存店客数は2021年2月期が対前期比88%、22年2月期上期(3月~7月までの合計:以下同)が同91%と減少しました。結果、21年2月期の会社トータルの売上高は同101%とSM他社と比較すると伸長率は限定的でした。

 ただ、既存店客単価についてはまとめ買い需要もあって21年2月期は同116%と伸長しました。直近の22年2月期上期は前期の反動もあって同95%となりましたが、20年2月期同時期と比較すれば同113%と伸びています。

──消費者の買物行動の変化は感じられますか。

須田 先行きの見えない経済状況で消費者の節約志向は高まっています。一方で、外出自粛生活で旅行や外食に行けないなか家庭の食事に楽しみや価値を求める傾向も見られます。そうしたなか価格訴求のみにフォーカスするのではなく、豊かな食卓をいかに提案できるかが現在の店づくりの大きなポイントです。客数が減少するなかでは、客単価を向上させる必要があり、客単価を構成する「買い上げ点数」「1品単価」の双方を上げていくことが重要だと考えています。

──具体的にはどのようなことに取り組んでいますか。

須田 コロナ禍で高まっている、「健康」ニーズに応える店づくりです。

 21年2月期からは

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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