DIYがブームから文化へ!ホームセンター各社は「アフターコロナ」に照準を

ダイヤモンド・ホームセンター編集部
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先陣を切ったカインズ

ホームセンター業界はこのDIYの盛り上がりへの対応が遅れた。資材や工具、金物を取り扱っているものの、そのターゲットはあくまでプロで、10万点も商品があるなかからセルフサービスが基本になっているホームセンターの売場で、DIY初心者が欲しいものを探すのは難易度が高い。

また、DIY初心者向けの商品も取り扱うようになるが、価格志向で「安かろう悪かろう」の商品が多かった。女性向けの工具も軽量で小型の商品が中心だが、スペックが低いとうまく使うことができずに、うまくつくれず、定着しないという負の連鎖が続いた。

その結果、第1〜第3次ブームまで、ホームセンターはあまりその恩恵にあずかることはできなかった。

その中でも、先陣を切って業界で最も早く動きをつけたのがカインズ(埼玉県/高家正行社長)だった。15年4月に「カインズ鶴ヶ島店」(埼玉県鶴ヶ島市)をリニューアルオープンさせ、中型工作機や溶接機、デジタル加工機を導入した「カインズ工房」を設置。ワークショップなどイベントも開催し、DIY初心者にモノづくりを体験できる場所として誕生させた。

cainz工房
HCではいち早くカインズがDIY強化に動いた

17年4月には「カインズ広島LECT店」をオープン。一般消費者が利用しやすいようにプロ向けの売場と分離し、DIY商品を集めた「DIYスタイル」コーナーを設けた。大都と協業し、カインズ工房をはじめとする空間づくりにも磨きをかけた。

カインズは広島LECT店を皮切りに、DIY戦略を加速させる。DIYスタイル向けのプライベートブランド商品の開発を進め、大型店の新規出店や既存店改装でカインズ工房の導入も進めた。19年11月には「DIYer100万人プロジェクト」を始動し、パートナー企業とともにワークショップのメニューやDIY関連サービスを拡充した。

続いてコーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)も動いた。18年7月、DIY商材を中心とした品揃えによりさまざまなライフスタイルに合った暮らしづくりを提案する専門売場として「D・I・Yリノベーションコーナー」を「コーナン岐阜店」(岐阜県岐阜市)で初めて試験的に導入した。幅広いユーザー層に向けてわかりやすく、買いやすい商品を中心に品揃えしたところ、女性客や家族連れなど、従来DIY売場をあまり利用しない客層が多く立ち寄るようになり、販売実績も着実に上がっていった。その後、都市部の旗艦店を中心に既存店でも「D・I・Yリノベーションコーナー」の導入を進め、21年9月現在、20店舗にまで拡大させている。

また、隣接する場所には営業時間内であればいつでも無料で利用できる工作スペース「DIYラボ」を開設。塗装専用ブースも設置され、簡単なリメークから本格的な木工まで、モノづくりを自由に楽しめるようにしている。

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