22年2月期上期は増収営業減益のスギHD 杉浦克典社長は決算説明会で何を語ったか?

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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「サプライチェーン イノベーション大賞2021」で大賞を受賞

 2つめの製・配・販の連携についてだが、当社はライオン(東京都)さま、PALTAC(大阪府)さまとの連名で、「サプライチェーン イノベーション大賞2021」において、オープンな製・配・販の連携で実現した在庫の適正化、返品削減に関する取り組みで大賞を受賞した。メーカー、卸、小売の三者が仮に1つの会社であったとして、地域の皆さまに提供する価値をどのように高めることができるのか、あるいは非効率なものをどこまで改善できるのか、こういった視点で取り組みを進めてきたものだ。

 当社では情報の早期共有、店舗別の販売・配架計画、売上拡大と適正在庫、店舗・商品別の在庫管理に課題があり、機会ロスや無駄な返品が発生していた。とくに返品は流通業における商慣習として問題は大きく、メーカー、卸、小売それぞれでコストがかかる。また安全性の観点からも最終的に産業廃棄物として処分することになり、循環型社会の実現の妨げにもなっている。これらの課題解決に向けて、発売準備期、発売拡大期、縮小・終売期に応じた計画を共有して取り組みを進めた結果、「サプライチェーン イノベーション大賞2021」で評価された。

 今後のさらなる製・配・販連携のカギはDX(デジタル・トランスフォーメーション)にあると考えている。当社の「スギ薬局アプリ」会員数が順調に推移し、直近で700万ダウンロードを超えたことに加え、当社内でさまざまなデータ連携を可能とするインフラが整備され、協業パートナーさまとともにデジタルマーケティングやCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)領域へ積極的に打って出る時期に入ってきた。今後も製・配・販連携の対象カテゴリーを広げ、新たなお取引さまとも協力しながら、サスティナブルな地球環境の存続に向けた取り組みを進めていく。

 3つめのESGの取り組みについてだが、定時株主総会終了後に統合報告書を発行し、当社グループの事業やサスティナビリティに対する考え方を示した。当社グループの存在意義、資本、強みを活用してどのように価値を生み出し、ステークホルダーの価値向上につなげているかを示したものだ。

 当社の創業の理念である親切・誠実・信頼をベースに、少子高齢化、地球環境問題などの社会課題の深刻化や価値の多様性、消費行動の変化など価値観の変化といった社会の変化を見据え、価値を生み出す事業活動を通じて、地域社会への貢献をめざしている。価値創造の源泉となる当社グループの最大の強みとして、薬剤師、登録販売者、管理栄養士、ビューティアドバイザーといった多数の専門家人材を有している。これらの人材を中心に顧客生涯価値の最大化を図るため、DXを進めながら物販、調剤を中心に事業活動を行っている。さらには協業パートナーと新たな事業・サービスの展開を進め、お客さまの新たな価値を創造し、地域社会から支持される企業へと成長し、あらゆる人々が幸せで笑顔あふれる社会の実現をめざしている。

 いまだ新型コロナウイルス感染症の猛威は衰えず予断を許さない状況が続き、あらためてドラッグストアの社会的インフラとしての役割の大きさ、責任を感じている。そのような中、6月から愛知県にある藤田医科大学病院さまでのコロナワクチン調製をご支援させていただいている。大規模接種、職域接種でのスムーズなワクチン接種を進めるうえでもワクチン調製は重要な工程であり、当社の薬剤師がご支援させていただけることをうれしく思っている。

 このほかに下期になるが、本社をコロナワクチン接種会場として、愛知県大府市さまに提供し、大府市さまが進める民間事業者を活用した大規模集団接種に協力。当社の薬剤師がコロナワクチン調製などを支援している。今後も私たちが果たすべき責任を全うするためにも、従業員が安心して業務を行うことができる環境を提供し、地域の皆さまの安心・安全な暮らしをご支援させていただけるよう取り組んでいく。

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