食品小売や食品強化型ドラッグストアが相次いで調剤事業の強化を打ち出し、食品と調剤の親和性がにわかに注目される昨今。イオンリテール(千葉県/井出武美社長)が運営する「イオン薬局」は、ショッピングモールや総合スーパー(GMS)併設の調剤薬局として、その可能性を探ってきた先駆者でもある。そんなイオン薬局が展開する直近の取り組みについて取材した。
競争激化の調剤業界で食品売場近接の強みを生かす
イオン薬局は現在(2020年8月末)、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループが展開するショッピングモールやショッピングセンター、GMS「イオンスタイル」など全国約240カ所に調剤薬局を出店(イオンリテール運営分)、調剤事業のほかにもOTC医薬品の販売、健康に関する商品サービスの提供などを行っている。一般的な店舗フォーマットはそれぞれ約10坪の調剤室と待合室に一般用医薬品の売場を併設したかたちで、その多くが食品売場に隣接、あるいは近接する立地となっている。
従来調剤薬局は、「門前薬局」と呼ばれる病院の近傍に出店するスタイルが一般的だった。便利な半面、受診する病院によって異なる薬局が利用されるため服薬情報の一元化や効果的な服薬指導が行いにくいことが課題でもあった。この解消のため、厚生労働省が打ち出したのが「かかりつけ薬局」の推進だ。どこの病院にかかっても処方せんを持ち込む先は決まった薬局にすることで、上記のような問題を解決しようという取り組みである。調剤薬局にとっては立地による優位性が薄れ参入障壁が低くなったともいえるが、その分競争環境は激化している状況でもある。そのような環境の中でイオン薬局が持つ強みは、
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