コスモス、アオキが本腰、スーパーのオーケーも開始!「調剤」争奪戦のゆくえ
DgS対策としては有用、非食品MDの再考も重要に
調剤事業参入にはさまざまな課題や障壁はあるものの、顧客利便性の向上、競争力強化、将来に向けた成長戦略という文脈で考えれば、決して悪手ではないことは確かだ。とくに食品小売にとっては、「対DgS戦略」として有効な手段である。というのも、先に挙げたコスモス薬品やクスリのアオキHDのように、食品の領域を侵食していた食品強化型DgSに対して、SMは「生鮮」や「総菜」といった既存の商材で何とか優位に立とうとするほかなかったからだ。しかし、調剤という本来は薬局やDgSがカバーする領域に乗り込むことで、本当の意味でDgSに対峙できるフォーマットを完成させられるかもしれない。
ただし気を付けたいのが、そもそも日本では「SM+調剤」というフォーマット自体が少なく、そのため消費者も現時点ではSMに対してそういったニーズをほとんど持っていないという点である。
前出の清水氏は「食品小売の場合、調剤に進出する前に、まずは日用品や化粧品、一般用医薬品などの品揃えを深掘りすることが先決ではないか」と指摘する。つまり各店舗の顧客ニーズを分析しながら非食品部門の品揃えを再考し、それをベースとして調剤事業に乗り出すという順序である。当然、DgSと戦える価格政策をとることも重要だ。この手順を踏むことで、顧客に対して、食品だけでなく非食品もリーズナブルに購入でき処方薬まで手に入れられるという“利便性を享受することの魅力”を認知させることができ、食品小売に対する新たな需要を創造することができる。
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ここにきて加速する、調剤をめぐるボーダレスな戦いの先に、どのような景色が広がっているのか。食品小売のフォーマットに変革をもたらすことになるのか。いずれにしても、「調剤争奪戦」は小売市場におけるパラダイムシフトになり得る事象であり、あらゆる業態にとっても、少なくとも“無関心”を貫くことは得策ではないはずだ。
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