食品強化型ドラッグストアはどう動く? 後編 クスリのアオキとゲンキー

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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石川県中能登町にオープンする「ゲンキー鳥屋店」完成イメージ

ゲンキーは粗利益率の引き下げを継続

 Genky DrugStoresの2021年6月期(連結)業績は増収・2ケタ営業増益だった。徹底したディスカウント戦略により、粗利益率を引き下げ、1人当たり買上点数、来客数を稼ぐモデルと、完全自前主義によるローコスト経営を継続する。

 コロナ特需が一巡した後、苦戦しているドラッグストアがある中で、Genky DrugStoresは好調に推移している。

 「これには3点あると考えている。粗利益率の引き下げ、プライベートブランド(PB)商品、そして生鮮食品の鮮度アップだ。当社は徹底してEDLP(エブリデー・ロー・プライス)を進めており、粗利益率も毎年、『0.5ポイントずつ下げよう』という話をしている。22年6月期も20.7%という過去最低の粗利益率を計画している。PBについてだが、同じものをずっと売っていたら、必ず数字は落ちる。その前に一味違うとか、より便利になるとか、どんどん変化をさせている。生鮮食品はプロセスセンター(PC)を活用し、鮮度のいいものをより安く提供し、利便性をより高めていく。いくら生鮮食品があるといっても、買いたくない状態のものであればワンストップショッピングにはつながらない。われわれの生鮮食品はコロナ禍においても家計を助ける価格で、家庭の生活をカバーする便利さを提供することが重要と考えている」(藤永賢一社長)。

 成長戦略についてはどのように考えているか。

 「まず、当社のマーチャンダイジングの基軸であるEDLP、ディスカウント戦略だが、『毎日安い、同じ価格で』ということをとにかくやろうとコロナの前から本格的に取り組みを開始した。日替わり特売がないことで、『昨日買えばよかった』とか『明日まで我慢しよう』といったお客さまのわずらわしさを排除して、毎日安心して同じ価格で、しかも安く買物ができる環境をつくりたいという思いでここまでやってきている。このEDLPには、店側としても物流や店内作業なども大幅に軽減できるというメリットがある。つまり、お客さまにとっても会社にとっても、非常に優しい販売方法だということだ。ディスカウントを追求するためには、安く売り続ける仕組みをつくらなければならない。当社の場合、店舗開発、PB、物流、生鮮食品、これらすべてを自前主義で貫いているということになる。

 物流については、現在、19年6月に稼働を始めた『岐阜安八RPDC』がマザーセンターになり、20年4月に増床してチルドセンター機能を加えた『福井丸岡TC』が北陸を管轄している。今期から出店を開始している滋賀県に関しては、来年以降に通過型の物流センター(TC)をつくっていきたいと考えている。さらに、23年秋に富山県小矢部市に『岐阜安八RPDC』と同じ機能を持つ『富山小矢部RPD』を建設する計画だ。ここで石川県の能登から福井県の北側までカバーするようにしたい。また、愛知県等への出店はさらに加速させていくため、24年以降になるが、愛知県の東側の三河地区に『愛知RPDC』を建設する計画だ。今後は、これら3つのRPDC体制で、全体の物流を賄っていくということで、この体制確立により600店を運営できると考えている」(藤永社長)。

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