子供服のナルミヤ・インターナショナルが「写真館」出店を拡大するワケ

2021/10/12 05:55
    野澤正毅
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    子供写真館ではスピードで勝負

    子供写真館
    子供写真館「LOVST」は現在8店舗

    ―新しい販路と言えば、国内だけでなく、海外も考えられます。ナルミヤ・インターナショナルは、すでに中国事業も展開しています。

    石井 SC向けブランドの一つである「プティマイン」を、「TMALL」という中国最大級のECサイトで販売しています。サイトに登録されている子供服ブランドは20003000もあるそうですが、その中でも、売上では上位10%に入る人気になっています。中国は、子どもの人口が日本の78倍と言われ、経済成長もしているので、市場として魅力的ですね。中国事業は、将来的には本腰を入れたいと考えていますが、まずはECでブランドの浸透を図ってから、リアル店舗の展開を検討します。

    ―アパレルだけでなく、2018年からは、「LOVST(ラブスト)」という子供写真館事業にも参入しました。

    石井 写真館は、子供服専門店と親和性がとても高いと考えています。お子さんがハレの日の服を着て、写真を撮るのにも便利だからです。当社には、数十万人の会員がいらっしゃるので、子供写真館事業とのシナジーも追求しやすい。当社の店舗は、百貨店に多く出店していますが、百貨店には現在、空きスペースも増えているので、写真館を併設するケースが多いですね。オープニング記念イベントとして、無料の撮影会も行っています。百貨店の同じフロアの他社ブランドでも撮影をお引き受けしているので、大人気ですよ。

    ―子供写真館では、先行している大手チェーンもあります。どんな優位性を訴求されるのでしょうか。

    石井 例えば、ほかの大手さんは、お子さんの写真をアルバム編集して、後日お渡しするサービスを主力にしているそうです。それに対して、当社では、お子さんの写真を当日、その場で、データでお渡しするという“スピード”を、セールスポイントにしています。SNSの普及で、「撮った写真をすぐにアップしたい」というニーズが、ママの間でも広まっていますから。

    ―子供写真館事業の見通しや計画については、いかがでしょうか。

    石井 子供写真館事業は、成長が期待できるでしょう。モバイルで簡単に写真が撮れるようになったことで、ママの間では、子どもの写真に対する関心が高まったと考えています。お子さんの記念撮影だけでなく、日々の成長の記録としての写真も欲しくなり、その結果、自分で撮影するだけでなく、身近なプロのカメラマンにも「お子さんのベストショット」を撮ってもらいたいというニーズが高まっていると見ています。

     今期は東京の髙島屋新宿店、東武百貨店池袋本店などに10店舗を新設する計画です。今後は3050店舗まで事業規模を拡大し、収益化を図りたいと考えています。

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