年初来+65%上昇!評価高まるZOZO株 最高値更新の日は近いのか?
受託販売の成長減速をどう見るか?
ただし、受託事業そのものの成長減速は論点になるでしょう。この減速が一時的なのか、それとも恒常的なものなのか。
会社の説明にしたがえば、購入者数は順調に増えているものの、
さらに別の視点から開示データを眺めると、第1四半期の平均出荷単価は前年同月比でひさびさに下げ止まり、出荷件数は増加傾向が続いていることがわかりますので、この傾向が続くとすれば今後、商品取扱高は巡航速度で成長を続けると予想できるのではないでしょうか。
しかし、PayPayモールとの「喰いあい」が生じている可能性も考えられます。ZOZO全体としてユーザー数と取扱高がどうなるのかに注目する方が適切になってきたと言えるでしょう。
Zホールディングス入りは正解だった?
PayPayモールは究極的にはモール運営者の方針で収益に影響を受けるリスクがあり、さらに従来の受託事業とのカニバリリスクを内包していますので、注意してみていく必要があります。
しかしそれを加味しても、筆者はZホールディングスの傘下入りは良い判断であったと思います。
ZOZOはアパレルのB2Cマーケットプレイスを基軸に拡大してきましたが、成長にあわせて、メディアの確立、商品ジャンルの拡張、広告、中古品流通、プライベートブランド(PB)、金融などの領域に参入してきました。しかしマーケットプレイス事業者の宿命として、テナントの離脱(=自社ないし他のマーケットプレイスへの移動)を最大のリスクとしてコントロールしなければなりません。実際、PBと中古品流通の事業を展開する際、アパレルテナント(受託元)への気配りを避けることはできなかったと思います。
B2Cマーケットプレイスを基軸に自由に事業展開するためには、圧倒的なユーザー数と高いリテンション(継続)率を確保する必要があります。アマゾンであればプライム会員化、楽天であれば楽天カードをベースにしたポイントエコシステムでの回遊がこの仕掛けに当たります。
ZOZOの場合、従来からユーザーの閲覧・購買履歴、ファッションコーディネートサイトのWEAR、全身採寸用ボディスーツのZOZOSUITなどがその役割を期待され、十分な貢献をしてきました。ZOZOTOWNの年間購買者数は現在973万人で、20代と30代の総人口3200万人の30%に当たります。ここから先は、新規ユーザーの獲得は幅広いユーザー層を抱えるZホールディングス・LINEユーザーに求め、ZOZO自体は既存ユーザーの顧客単価・LTV(顧客生涯価値)底上げを狙う、そう考えているのではないでしょうか。
さらに、中古アパレルの流通についてはZホールディングス側のインフラも是々非々で活用することも可能です。アパレルテナントの摩擦を最小限にしつつ、SDGs的に好ましいアパレル・エコシステム構築にも貢献できるようになります。