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EC化が遅れていたイケアが、一気にDXを成功させた理由と方法

圧倒的なローコストオペレーションで業界を席巻

 1943年にスウェーデン南部の小さな村で創業されたイケア(IKEA)は、優れたデザイン、機能性、品質を兼ね備えた商品を低価格で提供するホームファニシング企業として、今や世界中に知られる存在だ。現在はオランダに本拠を置く非上場企業であるインカグループ(Ingka Group)が親会社となっており、49カ国以上でブランドを展開、グループ売上高は世界で4兆円、従業員数は15万人を超える。

東京・原宿に出店したしたイケアの都市型小型店

 圧倒的なプロダクト力と価格競争力を有する同社の売上は、コロナ禍でも若干の減少にとどまった(図表)。欧州起点の企業であるが売上の2割は北米、1割はアジアが占めており、日本においては幅広い年代から支持を得て、“北欧カルチャー”の1つとしても広く認識されている。

 イケアの強みは何といっても圧倒的なローコストオペレーションにある。同社は長年、いかに無駄を省き低価格で顧客に商品を届けるかを追求してきた。製造においては世界で共通規格の商品を大量に販売し低価格を実現。また、家具の組み立てまでを消費者に任せ、“部品”の状態のまま平たく梱包する「フラットパック」方式により、生産と物流の工程を効率化している。さらに、店舗では導線や陳列を工夫することでスタッフの配置を最小限にとどめている。

 ところで、イケアの家具の組み立てには苦労したものの、そのぶん愛着がわいているという方も多いだろう。この現象は行動経済学の世界で「イケア効果」として立証されており、ブランドロイヤルティの育成に一役買っている。

最先端のサステナビリティ・プログラム

 こうした特徴的なビジネスモデルに加えて注目したいのが、

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