ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営30 SCは「神社の参道商売」と一緒

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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リアル商業の現状 商業施設は神社の参道商売である

 翻ってリアル商業はどうだろう。相変わらず「新業態」「今年の新作」「売るための接客」といったことを続けている。

 従来通り、顧客に来てもらうために幅広い品揃えや目新しさを訴求するプロモーションを繰り返すことも大事だとは思うが、「ゲームチェンジ」が今起きているのも事実だ。

 さて、商業施設の商売の本質を理解していくために、私は神社仏閣の門前街との類似性を挙げることが多い。

 有名な神社や仏閣の門前や参道には、土産物や名産を売る店が並び、毎朝、シャッターを上げ什器を道路に並べ開店準備をする姿を見ることができる。

 この風景はSCの開店前の風景とよく似ている。「今日はお客がたくさん来るかな」と思いながら開店準備をするスタッフの後ろ姿とよく似ているのである。

 そして一日が終わり「今日は雨が降って人が少なったな」「また緊急事態宣言で人出は少なくなりそうだな」と思いながら閉店する。

 決してこれがいけないと言うわけでは無く、要するに神社と言う核テナントに誘客された参拝者に物を売る参道商売とSCは同じモデルだということが言いたいのである。

 これは古くから私鉄経営でも劇場や球場で集客し、その乗客から金員を収受するモデルとも似ている。これらに共通するのは、「集客と移動」だ。

コロナ禍の教訓

 20201月から始まったコロナ禍で一番影響を受けたのが、他でも無いこの「集客と移動」だった。休業や時短、飲食店での禁酒などにより集客と移動を制限し接触の抑制が要求されリアル商業は大きくダメージを受けたが、次の感染症がいつ襲ってくるのか予想もできない。

 とすると「移動と集客」に負った商売だけではまた同様のリスクを持ち続けることを我々は学んだ。

「出掛けていくこと」

 「ECサイト(にアクセスする)を訪れる」という時代はストリーミング技術で終わった。今はSNSによって作られたフォロワーが自らの手で店頭を自らの手に作っているのだ。

ECは、こちら(消費者側)に出掛けてきた上に多くのアイテムの中から自分に合ったものを次々に提案するのだからリアル商業は敵わない。

 もちろんSCも、高度成長期、モータリゼーションと都市の郊外化に合わせ、大規模駐車場を設置した郊外モールを作り、郊外に住む顧客のそばに出掛けていったものだが、さすがに顧客の自宅までにはモールを作ることはできない。つまり、「出掛けてきてもらう」ビジネスモデルは変わらなかったのである。

図表1
図表1

 図表1に記載した「大きな谷」というのは、この出掛けていく主体が、消費者から事業者に変わる大きなギャップを示している。

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