ヤオコーを超える顧客支持率?コロナ禍まとめ買い時代に客数を伸ばす、「ベルク」強さの正体!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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安定成長の方針も新たな快進撃の予感

 では今後、ベルクはどのような成長を遂げていくのか。

 中長期的な目標では、同社は24年2月期までの中期経営計画において、最終年度に売上高で3101億円(対21年2月期比285億円増)、店舗数で149店(同26店増)の達成を掲げている。売上高・経常利益ともに成長率は年率2%前後の想定で、「無理な規模拡大はしない」と明言している。これは、「収益力の裏付けが競争力を後押しする」との考えのもと、規模拡大を優先するあまり、これまでに確立した高収益SMのモデルを崩さないためである。現在の絶好調の業績を受けても、堅実な経営方針を崩さないようだ。

 しかし、長引くコロナ禍でベルクを取り巻く環境は大きく変化している。同社はこれまで、店舗数全体の6割超を埼玉県で展開してきた。しかし近年の出店状況を見ると、埼玉県の中でも東京都よりの南部や、千葉県への出店が目立ち、これまでと異なるエリアへ商勢圏を広げている。

 一方で、すでにドミナントを構築している埼玉県のエリアでは店舗間競争が熾烈を極めている。とくに最大のライバルでもある「ヤオコー」がディスカウント型SMの新業態「フーコット」を埼玉県飯能市に出店するなど、チェーン間の競争にも地殻変動が起きている。こうしたなかベルクはどのような経営施策を講じるのか。原島社長による新体制のベルクの勢いを見ると、これまでのベルクとは異なる快進撃を見せてくれそうだ。

 次項からは、専門家や業界関係者らの協力により調査・分析したベルクの強さの秘訣を、財務指標や組織、店づくり、品揃え、商品、販促などのさまざまな面から具体的に解説している。

 「激動のコロナ禍でいかなる手を打つべきか」。これは現在のSM各社共通の問いである。そうしたなかベルクはこの大転換期で最も消費者の心を掴み、実績を上げているSMの1社であり、同社の取り組みは各社にとって指針の1つとなるはずだ。

ベルク会社概要

本社所在地 埼玉県鶴ヶ島市脚折1646
代表者 代表取締役社長 原島一誠
資本金 39億1265万7000円
店舗数 123店(21年2月末)
従業員 7792人(連結:うち正社員2206人)
連結子会社 ホームデリカ(総菜製造)
ジョイテック(資材販売、清掃など)

 

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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