人手不足を背景に4年ほど前にプロセスセンター(PC)の新設計画ラッシュとなった食品小売業界。人手不足は現在は一時的に解消されたものの、店舗の効率的な運営だけでなく、PCのいっそうの効率的な運営ニーズは根強い。多くのPCに導入されているベンディングスライサーの開発元として知られる日本キャリア工業(愛媛県)の三谷卓社長に、機械機器の自動化の現状と今後について聞いた。
多くの精肉PCで導入のAtoZを手掛ける
食品スーパー(SM)では、かつてない人手不足に陥っていた4年ほど前から、プロセスセンター(PC)の省力化・省人化へのニーズが顕在化してきた。日本キャリア工業の三谷卓社長は「『特定の工程を省力化・省人化したい』という具体的な要望よりも、『技術的に実現しやすい工程から省力化・省人化をすすめ、PCの現場で必要な人員を減らしたい』とのニーズが多い」と分析する。
日本キャリア工業の「AtoZ(エー・トゥ・ゼット)」は、約10年の開発期間を経て2002年に発表され、現在、多くの精肉PCで導入されているベンディング(折り込み)スライサーだ。三谷社長は、「AtoZ」の当初の設計思想として「スライサーから出てくるスライス肉を2~4名の作業者が手作業で盛り付けることを想定していた」とし、「スライス肉をそのまま自動で盛り付けるというアイデアには懐疑的であった」と振り返る。盛り付け作業を自動化しても、手直しや検品のために作業員を配置する必要があり、人員削減の効果が大きく見込めないからだ。
手直し不要の自動盛り付け機
しかし、想定以上に人手不足が深刻化し、ユーザーからの要望も高まったことから、4年前、スライサーと連動した自動盛り付け機の開発に着手。20年10月、ベンディングスライサー「AZ-341」専用のトレー自動盛り付け機「AZ-341+P」を発売した。
「AZ-341+P」は、1パック当たりの重量を一定の範囲内に揃え、トレー内にバランスよく均等に盛り付けるのが特徴だ。「AZ-341」がスライスする原料の高さを測定すると、「AZ-341+P」は、この測定データを用いて
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