「業態品揃え」こそチェーン成功の理由
日本のチェーンは、米国のチェーンに学び、それを理論化した「チェーン理論」によって生まれた。チェーンが支持されたのは、「新しい」「大規模店が多かった」「店数拡大とともにその商圏に住むものにとって買物が便利になった」「製造業の大量生産製品、NB(ナショナルブランド)が多種多様に売られていた」「積極的に『安売り』が行われた」……などいくつかの理由が考えられる。
事実、ほとんどのチェーンが「安売り店」としてまず支持された。だが、今振り返ってみれば、チェーン店が支持された根本的な理由はほぼ例外なく、「業種品揃え」ではなく「業態品揃え」だった点にこそある。
日本のチェーンの出発は「スーパーマーケット(SM)」という「業態品揃え」とともに始まった。チェーンが「業態品揃え」をひっさげて登場した時、日本にあったのは「業種」であった。「業種」とは、書店、金物店、青果店、家電店、薬局、鮮魚店といった具合に、製造・卸を前提とし、その末端の「販売先」として、特定品種に限定して品揃えする店である。
そしてそれらの店は“元から目線”、つまり販売側の視点による品揃えだった。今でも多くの商店街はこのような「業種店」で構成されている。個店経営は、業種店においても可能である。むしろ、「個店経営」という視点からいえば、業種店のほうが、品種が限定されているだけ「個店経営」の採用が容易である。
たとえば書店の店主は書籍のベテランである。そのベテランが、書籍という永年扱い馴れた特定品種に集中して「これまで何が売れたか」を考えるとすると、次に何を売ればいいかを予測する能力は当然高いはずである。
ワンストップショッピングとセルフサービス
翻ってお客の支持という視点から見れば、
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