アパレル産業のSDGsをDXで解決する方法とは 余剰在庫問題は課題設定を間違えている
余剰在庫削減と販売を両立させるZARAモデル

河合 私は、そのパラドックス(矛盾)を解くため、ZARAを徹底研究しました。行き着いた答えは、すでに「生き残るアパレル死ぬアパレル」に記載しましたが、「欠品だらけの売場をつくり、新商品を投入して客単価を維持する」というやり方です。つまり、必要な半製品在庫は無くなればおしまい。次に、
日本のアパレルは、なぜか、素材とデザインを切っても切り離せないものと考え、追加生産をする場合、同じ素材と工場での生産を要求します。ここを切り離せば、多彩な商品アイテムと受注生産や高い商品回転率は両立します。なぜなら、リードタイムが最も長いものは素材だからです。
一昨年、スペインのZARAをファーストリテイリングの柳井正氏が訪問したのは有名な話ですね。その後、+Jを投下し、+Jは欠品だらけになった。最後は、あまりに人気があったのか追加生産しましたが、私は、あの欠品段階でとめておくべきだったと思います。
入来 存在意義のあるアパレル企業が、
ZARAモデルの実現には、企画開始から商品投入までのリードタイムが「日単位」であることを求められますね。

あえてSDGsの対極にある例から入りますが、中国の越境ECであるSHEIN(シーイン)は1日に1000品番以上の商品をリリースしており、企画から商品出荷までのリードタイムは最短3日です。当然、追加生産などありえません。低価格と合わせて米国ではアプリダウンロード数でAmazonを超え、2020年度約1.1兆円の売上をたたき出しました。彼らのビジネスモデルは広州のサプライチェーン網による力技で成り立っており、米国で環境保護に関する違反*で裁判を起こされるなど、この問題のど真ん中にいますが、圧倒的な品番数が成長に貢献した事実は無視できません。
ロット生産とのバランスをとるには、欠品を前提とした数量で生産した上で、品番を特定した機会ロスを検知し、即座に適切な代替品をオファーする。十分な販売可能品番数があるという前提のもと、EC上であれば、商品マスタへの商品DNA自動付与によってある程度実現可能です。この部分はRidgelinezとしてもAIエンジンを実際に持っております。