アクシアルの新・3カ年中計を徹底解説 グループ会社との“調和”で製造小売、IT強化へ

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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発注やネットスーパーのシステムを子会社で内製化

 また、情報処理及びソフトウェアの開発業務を担うアイテック(新潟県)では、自社の状況に即した独自のシステム開発を進める。たとえば、外部のIT企業とも手を組んで、AIをはじめ最先端技術を活用したアクシアル独自の自動発注システムを開発するほか、コロナ禍で大きく伸長したネットスーパーにおいても、今後のさらなる成長を見込みパッケージソフトをアイテックで内製化した。

アクシアルはグループ会社のアイテックの機能によって、自動発注やネットスーパー、アプリなどのシステムを内製化している
アクシアルはグループ会社のアイテックの機能によって、自動発注やネットスーパー、アプリなどのシステムを内製化している


 グループ間での“調和”についての事例として、アクシアルでは「留学」と呼んで、アイテック従業員が数カ月間、食品スーパー店舗で勤務する機会をつくっている。そうすることで、IT人材の現場感覚を養うとともに、グループ企業間での人材交流を図ることで、現場に即したシステムを連携して開発できるようにしている。

 アクシアルの新中計では3年間で230億円の設備投資を計画する。なかでも、ここで紹介したITと食品製造に積極的に投資していく考えだ。このうち食品製造について原社長は「生産拠点の拡充をさらに進めて、他店にはない独自商品をいっそう増やしていきたい」と述べている。関東・北関東を中心にアクシアルの商勢圏では価格競争が激化しているが同社は「積極的に価格を打ち出していくつもりはない」(原社長)方針で、独自商品によって差別化を図っていく方針だ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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