ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営25 オンラインネイティブが創る次世代SCとゲームチェンジ

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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SC業界に訪れる、ゲームチェンジとSDGsの波

 今号のタイトル「ゲームチェンジ」を感じたのは、彼らの転職先だ。意外にSC企業からテナント企業への転職も多い。でも、これまでのようなテナント企業とは異なる。これまでのビジネスモデルは、自社製品(商品やサービス等)や仕入れた商品や本国から送られてきた商品を全国の店舗に流し販売(提供)し、収益を上げるものだった。

 要するに「店舗数×売上高」がそのテナント企業の成長モデルになる。ということは、「店舗数を増やすこと=収益の拡大」につながったのだ。

 ところが地方都市から始まった人口減少、コロナ禍による人の流れの制限、ECの進展による店舗売上の減少によって多くの店舗をつくり、そこに商品やサービスを流すビジネスモデルは難しい時代となった。

 コロナ禍によって休業を余儀なくされた店舗の経営は、賃料、雇用、償却負担など固定費による損失は拡大する。

 この状況から、従来のビジネスモデルとは異なる事業モデルを模索するテナント企業も増加している。だがこの場合、「テナント企業」という表現はおそらくそぐわないだろう。

新しいビジネスモデル

 上図をみてわかるとおり、そもそも新たな事業モデルは、ビジネスの軸がネットにある。たとえば産直や自然素材を使った家具を販売するにしても、ネットを活用して、生産者や消費者とダイレクトにつながっている。D2C(ディレクト・トゥ・コンシューマー)型のビジネスモデルで過剰な在庫投資を回避したり、SDGsの流れの中に自らのポジションを落とし込んでいる。

 大量生産大量消費を前提に「目標○○店舗」というビジネススタイルとは一線を画す。その前提は、ネットを介した情報の流通であり、ステークホルダーともダイレクトにつながる。

 最近では、既存の企業もネット流通に軸足を移し、店舗は、その補完として位置づけを見直すところも出ている。店舗で見てスキャンしてスマホに情報を貯め込んで後から購買行動に出ることを促す手法がその一例である。

 しかし、まだ、この発想は、生産(仕入れ)→店舗へ配送→陳列→接客→販売という流れを前提にしている。

 今後は、もう一歩進めて消費者や顧客をネットワークに取り込むことで店舗もその1機能として位置付け、ショールームでありプロモーションであり顧客情報の取得であり顧客のすそ野を広げるものでありECへの誘導であり、それらは全て店舗の売上を前提にしたビジネスでは無く、場合によっては不要となるケースすらあるだろう。

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