なぜあなたの会社は利益が出ないのか? 間違ったKPIが企業を窮地に追い込む実態

河合 拓
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これ以上価格を下げてもキャッシュに変えられない「 残品率」

 次に「残品率」である。これは、2)であげた「換金変数」としての「オフ率」で、「換金率最大化」を達成し、もうこれ以上、いくら価格をいじっても一銭のお金にも換えられない段階の余剰在庫を炙り出すための指標である。

 残品率は、そのまま簿価が損金処理の対象となり、P/Lの特損、あるいは、原価を押し上げる要因となる「残品率」の逆数が「最終消化率」となり、今アパレル産業の最大の問題と言われている焼却問題の対象となる。ある有識者会議で、「日本のアパレルは製造した商品の半分を燃やしている」などと発言していた人がいたが、おそらくプロパー消化率と最終消化率を混同しているのだろう。

 この「残品率」は、会計制度で定められた一定の期間を経て、そのまま損失計上されるものだ。これを、「まだ売れるから」とバランスシートに溜め込み、自分にとって都合が良い時期(例えば事業が好調だった時)に予算超過収益と一緒に、「特別損失」として相殺し計上している企業がほとんどである。これは、日本にある2万社弱ともいわれているアパレル企業のほんとんどが上場しておらず、まさに、こうした貸借対照表と損益計算書のさじ加減によって、見かけの収益を操作し銀行からの資金調達に活用しているからだ。しかも、なんの悪気もなくである。こうした企業が上場し、しっかり在庫を評価する制度を採用するとたまげるわけだ。

 だから私は、貸借対照表の経年変化の売上高流動資産比率の推移とデット(借り入れ)、現金・売掛金のすべての推移をみないことには、アパレル企業の損益計算書を全く信用しないことにしている。

 

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