アナリストが分析!コロナで事業環境激変するコンビニのいまとこれから

解説=津田和徳(大和証券エクイティ調査部チーフアナリスト
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コンビニ大

コンビニエンスストア(CVS)大手3社の2021年2月期決算業績は、新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大の影響により落ち込んだ。首位「セブン-イレブン」とそれを追いかける「ファミリーマート」「ローソン」との格差はさらに広がり、CVS全体としては人口減によりかつてのような成長が図れなくなっている。こうしたCVS市場の現状と今後向かうべき方向性を、大和証券チーフアナリストの津田和徳氏に聞いた。

直近の業績

セブンの回復が早い要因は連携力・機動力・徹底力

 2011年の東日本大震災後、CVSはそれまで利用の少なかった年配層、女性層を取り込むことができました。そこから“有事に強い”というイメージがもたれていましたが、今回のコロナ禍では、既存店売上高は落ち込み、営業利益も大きく減少しました。外出自粛、リモートワークによる巣ごもり需要が生まれ、食品や日用品のまとめ買いが進んだわけですが、消費者の足はCVSではなく、食品スーパー(SM)やドラッグストア(DgS)に向きました。

 20年7月からのレジ袋の有料化もCVSから客足を遠ざける要因の1つになったと考えます。商品を1つ買うだけでも、有料で袋を購入することになるため「それならSMやDgSでまとめ買いをしよう」と、CVSの利用を控えた人もいるはずです。そのほか、19年にいわゆる“24時間営業問題”が社会的な注目を集め、公正取引委員会まで動く事態となり、CVS本部と加盟店オーナーの関係性が決して良好とは言えなかった状態だったことも少なからず影響したはずです。

 日本フランチャイズチェーン協会(東京都)が発表した21年3月のCVS売上高は全店が2.4%増、既存店が1.9%増と、ともに前年同月実績を上回りました。しかし、その中身は売上の約45%を占める「セブン-イレブン」が上向いただけで、他社は厳しい状況から脱しきれていません。

 「セブン-イレブン」の回復が早い要因として、同社の変化対応力が挙げられます。売れ筋が変わった際に、本部の指示をオペレーション・フィールド・カウンセラーが加盟店オーナーに的確に伝え、現場で実現させる連携力・機動力・徹底力の違いが出ているのだと思います。

 たとえば「まん延防止等重点措置」の適用下では、飲食店が閉店する午後8時以降にCVSで夕食ニーズの取り込みが見込めます。そうしたなか実際に店舗をみると「セブン-イレブン」が最も品揃えがきちんとできていると感じます。

 一方「ファミリーマート」「ローソン」は、

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