過去最高業績を達成したバローHD 2030年までに営業収益1兆円超を達成するための戦略とは

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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商品力の向上や顧客との接点強化に注力

 この中長期経営方針を踏まえ、243月期を最終年度とする3カ年の新たな中期経営計画では、次の3つの施策に注力する。

 1つめは、「商品力の向上」だ。SM事業ではDSへの転換を推進し、年間30店舗超の既存店を改装する計画で、従業員の商品知識・販売技術習得のための研修を拡充させるなど教育にも力を入れる。そのほか、製造機能の強化やサプライチェーンの情報連携も推進する考えだ。

 2つめの「顧客との接点強化」では、EC戦略を推進し、事業所向け配送サービス「ainoma(アイノマ)」やドライブスルーでの商品受け取り「アイノマピックアップ」を自社店舗のドミナント地域で強化するほか、アマゾンジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長)との協業で21年夏より開始予定のネットスーパーで広域での顧客との接点確保に取り組む。

 また、会員基盤である「ルビットカード」やそのアプリを活用し、購買履歴に基づいた販促やマーケティング、予約販売や業態間連携、決済手段の拡充などに対応し、アプリ機能を強化する。

 3つめの「生産性の改善」ではローコスト経営への基盤を形成するため、店舗のスマート・デバイス環境整備や、RPAAI活用による業務の自動化に取り組む。また、店舗資産の有効活用やグループ企業間の機能統合にも着手する。

 このような取り組みにより、243月期までに営業収益7800億円、営業利益290億円、経常利益310億円、ROE9.3%ROIC6.3%D/Eレシオ(負債資本倍率)0.6倍をめざす。中期経営計画の初年度である223月期では、コロナ禍の反動減を加味して減益を予想。営業収益7320億円(「収益認識に関する会計基準」<企業会計基準29号>等を適用するため、前期との比較なし)、営業利益230億円(同10.3%減)、経常利益250億円(同12.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益120億円(同4.7%減)を見込んでいる。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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