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ネーミングひとつで売れ行きが変わる バーモントカレー、マクドナルド…“名前”の持つ不思議な力

「ネーミングはプロモーションの一番の手段です」とおっしゃっていたのは、ハウス食品グループ本社の浦上博史社長だ。だからというわけではないのだろうが、同社のロングセラー大ヒット商品には不思議な名前の商品が数多くある。

i-stock/kazoka30

ハウス食品の特徴あるネーミング

「ハウス バーモントカレー」(1963年発売)
「ハウス ジャワカレー」(1968年発売)
「ハウス ククレカレー」(1971年発売)

 当たり前のように存在し、市場にも完全に定着している商品なので違和感はないのだが、突き詰めてみれば・・・

「米国バーモント州とカレー?」
「ジャワとカレー?」
「ククレ?カレー」

と突っ込みどころ満載で疑問だらけのネーミングであると言えないだろうか?そんなことを考えているのは私だけではないらしく、ハウス食品にはこれらの名前の由来を教えてほしいという質問が殺到しており、同社はサイト上で回答している。

(以下クリックでハウス食品のホームページへ)

Q:バーモントカレーの名前の由来を教えてください
Q:ジャワカレーの名前の由来を教えてください
Q:ククレカレーの名前の由来を教えてください

ネーミングひとつで売れ行きが変わる?!

 そういえばもう40年も前のことになるけれども、丸首長袖シャツは「トレーナー」と命名された途端急激に売れ始めた。「スニーカー」も同じだ。1977年にリリースされた原田真二さんのデビュー曲『てぃーんず ぶるーす』の歌詞に出てくるように、スポーツシューズはそれまで「ズック」だった。1979年にチューリップが『虹とスニーカーの頃』というタイトルの楽曲を発売しているので、この2年間のどこかで「スニーカー」という名前が普及し、大いに売れるようになったということだろう。

 さて、2016年に製作、公開された米国映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は、マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンに成長させたレイ・クロックを描いた映画だ。なぜレイ・クロックは、創業者のマクドナルド兄弟からの繁盛店買収に強欲なまでに固執し、悪魔になっていったのか?

 ひとつは、店頭で効率的にハンバーガーを製造できる「スピード・サービス・システム」を構築していたことだ。低コストで高品質の商品を大量製造できる革新的なシステムだった。

 そして、もうひとつ。それは「マクドナルド」という店名そのものにある。映画の中でレイ・クロックは言った。「“マクドナルド”。なんていい響きなんだ。“レイ・クロック”という名前のハンバーガー屋は食指をそそらないが、“マクドナルド”は素晴らしい」。

 英単語の細かなニュアンスについては分からないけれども、“マクドナルド”という名前と食との親和性の強さが大きいことは理解できる。やはりネーミングとは、上位に位置するプロモーション要素なのである。

 最近は、小売業もPB(プライベートブランド)や総菜などにもオリジナルの名前をつけているようだが、ここは熟慮に熟慮を重ねる必要があるかもしれない。名前ひとつで、売れ行きがまったく変わる可能性はいまなおあるからだ。