コロナ禍で躍進する生協が本格稼働させたDXプロジェクトの中身

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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「即時配送に挑戦する
 優先度は高くない」

 絶好調の生協宅配だが、コロナ禍ではこの成長市場を奪取しようとアマゾンジャパン(東京都)をはじめ競合各社も生鮮ECの拡大に動いている。生協宅配は次にどのような成長施策に打ってでるのか。

 日本生協連常務執行役員の二村睦子氏は業績発表の会見の場で「他社の生鮮ECのような即時配送に挑戦する優先度は高くない。現在の週次配送モデルにさらに磨きをかけていくことが重要だ」と述べている。

 そうしたなか直近の取り組みで注目されるのが20年4月からスタートした「DXコーププロジェクト」だ。日本生協連主導のもと全国の地域生協のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するもので、宅配の効率化や利便性向上が期待される。

日本生協連は20年4月から「DXコーププロジェクト」をスタートした
日本生協連は20年4月から「DXコーププロジェクト」をスタートした

AIを活用した実験が
続々スタート!

 21年度は同プロジェクトによる新たなサービスを複数開始する。すでにみやぎ生協(宮城県)では21年4月から、注文履歴をもとにレシピを提案し、必要な食材を一括注文できる「レシピ注文」サービスをスタートさせている。
 またコープあいち(愛知県)では今年5・6月ごろをめどに、AI(人工知能)を活用することで、宅配の配達コースを最適化するシステムの実証実験を行う計画だ。

 一部の先進的な地域生協を除いて、これまでデジタル活用が遅れていると言われてきた生協だが、いよいよ本腰を入れてDXを推進し、週次配送モデルをより進化しようとしている。
 

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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