関西スーパー福谷耕治社長が語る店舗改装で売上が5年で約30%伸びるワケ

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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本部を構える兵庫県のほか大阪府、奈良県で事業展開する関西スーパーマーケット(福谷耕治社長)。ここ数年、新たな品揃え、店づくりを波及させる改装が奏功し好調を続ける。商勢圏では競争が激化する中、2022年3月期以降、次代をにらみ生産性の向上や物流センターの整備などに取り組む。同社の福谷耕治社長に事業展望、戦略を聞いた。

4期連続の増収増益で着地

──新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大で混乱が続いています。この1年をどう振り返りますか。

関西スーパーマーケット社長 福谷 耕治氏
ふくたに・こうじ●1956年生まれ。1979年、関西スーパーマーケット入社。2008年、取締役就任、同年総務グループマネジャー。11年、店舗運営本部長、13年、常務取締役就任、同年営業本部長。14年、代表取締役社長就任(現任)、20年、営業統括本部長(現任)

福谷 内食への需要が高まり、全国的に食品スーパー(SM)の利用が拡大しました。当社も2021年3月期上期(4~9月)の既存店売上高は対前年同期比4.7%増と伸長、下期も同様の傾向で上期に近い数値で着地しそうです。

 お客さまのまとめ買い行動の定着により、一時は買物頻度が低下し客数が減りました。しかし昨夏以来、各種取り組みにより客数は徐々に回復し、昨年10月以降は前期並みをキープするに至っています。ただし伸びている店舗がある半面、依然として同20%減程度で推移する店舗があるのも事実。店舗の立地や商圏特性によるところが大きいのですが、原因を追究し対策を講じる必要があると思っています。

──コロナ禍の内食回帰によって業績が好調に転じた企業と違い、関西スーパーマーケットは近年ずっと好調を続けています。

福谷 改装を通じ新しい品揃え、店づくりを既存店に波及させており、それがお客さまに受け入れられた成果だと見ています。このペースだと21年3月期まで、連結ベースでも単体ベースでも4期連続の増収増益を達成する見込みです。ここ3年間、客数、客単価、一品単価、買い上げ点数は前年実績をクリア、いい感じだと見ていたところに襲ったのがコロナ禍でした。

──今後は、どのような施策を打ちますか。

福谷 やがてコロナ禍の影響でデフレトレンドが定着、SMを取り巻く環境は厳しくなるのは間違いありません。そういった状況に対し、お客さまの来店頻度を高めるほか、生産性を向上する施策に取り組みたい。

 消費者の購買行動は、以前とは大きく変化しています。SMという業態が日本で生まれて約60年。これまでの成功体験が通じない時代が到来したと痛感しています。今、コロナ禍で一時的に追い風が吹いている間に、進めておくべき対策があると考えています。

25年までに全店を改装

──数年来、進めている改装とはどのようなものですか。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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