苦境の外食産業にコロナが課した3つの制約条件 コロナ後の明暗をわけるものは? 

中井彰人(㈱nakaja lab 代表取締役/流通アナリスト)
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立地リスクを分散する

 最後に「立地」制約について。これはリモートワークなどにより大都市オフィス街の昼間人口が減少により、都心立地、ビルイン立地などが売上不振に陥り、郊外回帰が起こっているという立地環境の変化を指している。また、ショッピングセンター(以下:SC)立地に関しても似たことが起こっている。SC全体の営業時間に左右されるため、夜型業態であるかどうかにかかわらず、SCの休業や時短の影響を受けてしまう、ということだ。

 都心部・SCが弱く郊外が強い、というコロナのもたらした影響は、牛丼チェーンでは都市型立地の吉野家、松屋より、郊外型のすき家が健闘、また、近年商業施設等のフードコートへの出店を進めてきたリンガーハット、SC内へのテナント出店に注力していた大戸屋の不振、などという結果を引き起こした。自社が強みを持つ立地への集中出店は有効な戦略であろうが、立地リスクの分散については再検討してみる必要があるかもしれない。

 いずれにしても、コロナ禍によるさまざまな影響は外食にとって一過性の事象が少なくない。コロナ終息まであらゆる手を使って、資金繰りを維持できさえすれば、それでウィズコロナ対応は完了だ。それよりも、コロナ対策を通じて、アフターコロナにも通じる普遍的な示唆を受けられるか否かが、本当の勝負になるのではないだろうか。

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