苦境の外食産業にコロナが課した3つの制約条件 コロナ後の明暗をわけるものは? 

中井彰人(㈱nakaja lab 代表取締役/流通アナリスト)
Pocket

 不稼働時間を活性化する

 まず「時間制約」だが、これはコロナの感染拡大を抑止するために国家や自治体等によって、休業指示や営業時間の制約が行われることを指している。営業時間短縮の影響を最も受けるのは、もともと営業時間が短い居酒屋やディナーレストランであることは間違いない。2度目の緊急事態宣言下で課された20時閉店という制約は、こうした業態にとっては休業指示にも等しく、大幅な減収を覚悟せざるを得なかった。ランチ営業をしていても、メーンである夜で稼ぐ業態であるため、こうした時間制約の影響は大きくならざるを得ない。こうした稼げる時間帯が集中していることによるリスクが今浮き彫りになったということなのであろう。

 居酒屋チェーンの鳥貴族が「トリキバーガー」事業を始め、チキンバーガーを中心とした昼の営業とデリバリーなどを実施する発表している。これが成功すれば、これまでの不稼働時間の活性化につながるものであり、アフターコロナでの収益向上策としても有効だ。コロナによる時間制約は、不稼働時間の見直しにつながる可能性を産み出すかもしれない。

売上を積み上げる方法を複数持つ

 次に、「キャパシティ制約」について考えてみる。飲食店にとっては、席数に応じて業態別に想定する売上水準があり、それをもとに店舗投資回収の計算ができる。しかし、コロナ禍では密を避け、ソーシャルディスタンスを確保するため、多くの飲食店はその席数を減らして営業せざるを得ない。そうなると店内提供だけではやっていけないので、テイクアウトや宅配を行うことになる。

 このテイクアウト等については、昼食時や夕食時のピーク時に席数を超える需要を満たすために、これまでも取り組んできた回転寿司チェーンなどの対応力が際立ってみえる。ご存知の通り、人気回転寿司、スシローやくら寿司では、コロナ前からピーク時の混雑緩和が大きな課題となっていた。そこで、ネット予約やテイクアウト対応などで、課題の改善に向けた努力を続けてきた。その結果、今回のコロナ禍でのテイクアウト対応、特定の時間帯への集中緩和などで大きな成果を挙げており、それが対前年同月比の月次売上に表れている。

 これらの事例が示すのは、店内の客席回転数・率向上にとどまらず、売上を引き上げるための不断の努力が重要であり、それはアフターコロナにも生きてくる、ということだ。席数は店のキャパシティとして超えられない限界ではあるが、売上を積み上げるためにできることの幅が、コロナによって拡大したと前向きに解釈すべきかもしれない。

1 2 3

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態