コロナ禍で強さを発揮! “回らない寿司屋”から始まったスシローがデジタルに注力した理由とは

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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新たにAI領域へ注力

あきんどスシロー取締役執行役員 小河博嗣氏

 さらなるデジタル化への挑戦として、スシローは20年10月、AI画像認識による会計システムの導入を発表した。お客がレーンからとった皿をカメラで撮影、AIが画像識別を行うことで価格と数を計測するもので、計測結果は店舗の会計システムに送られ会計額も自動で算出される。スシローがもともと備えている無人レジなどと合わせ、スタッフと一切接触せずに入店から退店までが完結するようになる。同システムは、21年1月までに奈良三条店など全国3店舗で導入、9月末までに30店舗まで増やす。席を訪ねて皿をカウントする業務が不要になるため、現場からは「今まで導入した効率化設備の中で最も良い」という声も上がった。同技術は画像認識にAIを活用しているが、今後スシローでは収集したデータの分析などにAIを積極的に活用していく方針だという。

 今、スシローがめざすものは、「楽しい食卓」だ。イベントごとやお祝いなど、ハレの日の食事として選ばれることが多い寿司を美味しく楽しんで食べてもらいたい、コロナで落ち込みがちな世の中で少しでも楽しみを感じてもらいたいという思いだ。「デジタルというと“省人化”や“非接触”といった側面に注目が集まりがちだが、それ自体が目的ではない。楽しい食卓を実現し、何を食べようか迷った時に『ほな、スシローいこか』と言ってもらえるような身近な存在になるためのデジタルとして、その力を活用していきたい。」と小河氏は思いを語り、今後もさらなるデジタル化を推し進める姿勢を見せた。

 

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