コロナ禍で強さを発揮! “回らない寿司屋”から始まったスシローがデジタルに注力した理由とは

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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デジタル化はどうやって進んだか 

 それでは、スシローのデジタル化はどういった歩みで現在のシステムにまで完成されたのだろうか。

 スシローが通常の寿司店から回転寿司に移行した当時、お客は店に押し寄せている一方で、利益率が低いという問題点があった。この原因を探るためにすべての皿にICタグをつけ、どの寿司ネタがいくつ取られているのか、廃棄になる寿司ネタには何が多いかなどの情報を収集することで、廃棄率を下げ利益率をあげることに成功した。これは今でこそIoT(Internet of Things)などと呼ばれている技術だが、この取り組みはまだそのような言葉がなかった時代に始めた先駆的なものだった。

 また、スシローの店舗フォーマットはキッチンと客席が完全に別れている。レーンの中に職人が立ち、注文を受け付けるフォーマットを用いていた時期もあったが、より効率性を求める中でキッチンと客席の完全分離を選んだ。しかし弊害として、客席までスタッフが都度注文を聞きに行く必要が出てきてしまった。この手間を省くため、各テーブルにインターホンを設置する方法に変更したが、それでも応答して注文を書き起こし、キッチンに伝達する人員が必要になる。これらの解決策として導入されたのがタッチパネル式注文だ。

 まず効率性を重視して通常の寿司店から回転寿司へ転換し、皿にICタグをつけて無駄を省き、タッチパネル式注文で手間を省く。そこに自動案内やセルフレジといった接客の自動化が後から加わった、というのがスシローのデジタル化の流れだ。

自動発券機で発行されたQRコードを読み取らせることで、自動で座席を案内する。自動発券機で受付、順番がくれば自動で呼び出し、どの席に座れば良いかは自動座席案内と、着席までは完全に非接触だ

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