2020~21年流通再編を総まとめ 主役はマツキヨ、ニトリ、アークランド、ファミマ、西友…

森田俊一(流通ジャーナリスト、 松岡由希子(フリーランスライター)、ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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クスリのアオキは地場SMを次々と買収

マツキヨココカラ&カンパニーが誕生する
マツキヨココカラ&カンパニーが誕生する

 DgS業界では、昨年発表されたマツモトキヨシホールディングス(千葉県)とココカラファイン(神奈川県)の経営統合の詳細が明らかになった。21年10月1日付で、2社が株式交換を実施。効力発生と同時にマツモトキヨシホールディングスはマツキヨココカラ&カンパニーへ商号変更する。統合完了後は、その下にシナジー創出会社の新会社MCCマネジメント、事業会社のマツモトキヨシグループ、ココカラファイングループ(ココカラファインから商号変更)がぶら下がるかたちとなる。マツキヨココカラ&カンパニーは売上高1兆円、3000店舗を有する日本最大級のDgS企業となる見込みだ。26年3月期までにグループ売上高1.5兆円、営業利益率7.0%をめざす計画となっている。

 また、DgS業界では同業同士の再編だけでなく異業態を傘下に収める動きもみられた。クスリのアオキホールディングス(石川県)は地場SMを次々と買収し、食品強化の姿勢を強めている。20年6月にはナルックス(同)を、10月にフクヤ(京都府)を買収し、21年5月にはサン・フラワー・マリヤマ(石川県)を傘下に収める予定だ。

 コロナ禍で需要が急増しているEC業界についても再編や提携の新たな動きがみられた。楽天グループ(東京都:楽天から商号変更)は以前からネットスーパーなどで協業している西友(東京都)への影響力を強めている。21年3月には米投資会社のK K Rとともにウォルマート(Walmart)から西友の株式を取得。KKRが65%、楽天グループが新たに立ち上げた新会社楽天DXソリューション(東京都)が20%、ウォルマートが引き続き15%の株式を保有することとなった。また、楽天グループは日本郵政(東京都)と資本業務提携を締結。物流やモバイル事業、デジタル化などでの連携を強化する。

 アマゾンジャパン(東京都)は、19年9月にライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)と業務提携したのに続き、東海地方を中心にSMを展開するバロー(岐阜県)とも協業することを発表。21年夏には、ライフと同様アマゾン内にバローのネットスーパーが開業する予定だ。

2021流通相関図メインイメージ
今後も小売業界においては生き残りをかけた再編が進行していくとみられる。

 日本の小売業界は、以前からSMやCVSを中心にオーバーストア化が指摘されているほか、人口減少による競争激化などさまざまな課題を抱えている。加えて、コロナ禍では新しい生活様式に合わせた店舗開発やデジタル化、新たなニーズへの対応など、これから取り組まなければならないことも多く浮き彫りになった。今後も小売業界では、各業態間、あるいは業態を超えてスケールメリットや業務効率化といった観点から生き残りをかけた再編が進行していくとみられる。

 

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