SM専業となった新生イズミヤ 梅本友之社長が語る差別化戦略のすべて

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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エイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/荒木直也社長:以下、H2O)傘下のイズミヤ(大阪府)は昨春、総合スーパー(GMS)企業から食品スーパー(SM)企業に生まれ変わった。これに伴い、新たな店づくりに取り組むほか、改革に取り組んでいる。今後、どのような戦略で事業展開するのか、梅本友之社長に聞いた。

品揃え、売場づくりは広域型から小商圏型に

──長らくGMS企業として親しまれてきましたが、昨春、SM企業として再スタートを切っています。

イズミヤ代表取締役社長 梅本 友之氏
うめもと・ともゆき●1959年9月生まれ。1982年3月、龍谷大学卒業。82年4月、イズミヤ入社。2016年4月、サンローリー代表取締役社長。19年4月、イズミヤ取締役執行役員人事総務部長。20年1月、代表取締役社長(現任)。

梅本 2020年4月、H2Oが当時掲げていた中期経営計画のもと事業再編が行われました。イズミヤは食品に特化するSM運営会社となり、そのほかの事業は日用品販売会社、商業施設運営会社に分割しました。

 このうち日用品販売会社として、ドラッグストア企業のココカラファイン(神奈川県/塚本厚志社長)とH2Oによる合弁会社であるCFIZ(大阪府/中山和亮社長)を設立。さらに、イズミヤから商業施設運営事業と、衣料品・住居関連品販売事業を継承した新会社、エイチ・ツー・オー商業開発(大阪府/黒松弘育社長)と、3つの新しい会社が発足しています。

 私は20年1月にイズミヤの社長に就任しました。GMS全盛時代にイズミヤで育った私にとっては時代の潮流を深く感じます。

──SM専業となり事業を展開する上で方針に変化はありますか。

梅本 GMS業態においては、衣食住それぞれの役割がある中で、週末を中心に広域から来店いただくための販促、オペレーションを展開してきました。しかしSMでは、500m~1㎞の小商圏から日々お買物に来ていただくためのきめ細かい対応が重要と考えています。当然、品揃えや売場展開、販促、店舗オペレーションの施策や方針は似て非なるものがあります。

──この1年はコロナ禍の影響がありました。どのように振り返りますか。

梅本 消費者の購買行動が大きく変わったことを実感しています。内食化が進み、生鮮素材や調味料がよく売れている一方で、お客さまが来店される時間帯が大きく変化しています。時間帯別売上高を見ると、19時までは対前年比10%増と大きく伸びる傾向がある一方、19時から22時は大きく落ち込むケースも珍しくありません。コロナ禍で生活スタイル、購買行動が一変したことは間違いありません。

 生活スタイルが一変するなか、当社では

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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