[東京 31日 ロイター] – 日立製作所は31日、システム開発を手掛ける米グローバルロジック(カリフォルニア州)を買収すると発表した。既存の株主から全株式を約9180億円で取得する。有利子負債の返済を含む買収総額は約1兆0368億円となる。日立が成長戦略の中核とするIoT基盤「Lumada(ルマーダ)」の世界展開を加速させる。
東原敏昭・社長兼最高経営責任者(CEO)は会見で「グローバルロジックは、クラウドとチップの中のソフトウエアをつなぐ技術に長けている。取り込むことでLumada事業がさらに進化し、グローバルな顧客に新たな価値を提供できる」と述べた。
グローバルロジックは企業のデジタル化に必要なシステムやソフトウエアを開発。日立はこの買収で、グローバルロジックが持つ技術と顧客基盤を取得する。德永俊昭専務によると、グローバルロジック社は中国にフットプリントはなく「米中の緊張に大きく影響を受ける事業もない」という。
規制当局の承認などを経て、7月末までの買収完了を予定している。
買収資金は手元資金約2000億円と銀行借入れ・社債で約8000億円とする。1兆円のうち7000億円は営業キャッシュフローと資産の入れ替えでねん出し、1年後には返済義務のある有利子負債は3000億円程度がドル建てで残ることを見込んでいる。
グローバルロジックの株式は、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)とスイス拠点の大手投資ファンド、パートナーズ・グループがそれぞれ45%ずつ、残りを同社の経営陣などが保有している。
同社の21年度の売上収益は12億米ドル(1296億円)、調整後EBITDAは20%超、28年度には調整後EBITDA10億ドル(1080億円)超の達成を見込んでいる。
日立は2022年3月期連結決算への影響について、「確定次第速やかに伝える」としている。